社会保険手続きのQ&A(その4 労災)

12 労災

Q12-1 労災保険の特別加入にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

 当社は従業員が5人の製菓会社です。主に和菓子を製造・販売しています。社長と、息子の専務も従業員(職人)と一緒に和菓子を作っています。また、出来上がった製品を軽トラックに積んで、得意先に納品するなど従業員と同じように働いています。

 二人ともベテランなので仕事中に事故が起きる可能性は低いと考えていますが、全くの0とは言えません。従業員は労災が適用になっていますが、社長や専務などの役員も「特別加入」という制度で労災の適用ができる、と同業者に聞きました。加入を考えているのですが、詳しく教えてください。

 A12-1 労働保険事務組合に保険事務を委託した上で、特別加入ができます。(保険料を支払う必要もあります。)

 労働者は労災保険が適用されますが、役員には適用されません。しかし、ご質問のように中小企業においては、社長はじめ役員が従業員と同じように働いているケースは少なくありません。そのため、一定規模以下の会社の役員は「特別加入」という制度で労災(業務災害と通勤災害)の対象になることができます。製造業であれば次の条件です。

 ・従業員数が300人以下であること。 ・労働保険事務組合に事務処理を委託していること。

 特別加入によって、療養補償給付として労災指定病院等で無料で治療を受けられます。また、休業補償給付として労災事故で休業した場合に所得補償がなされます。
 なお、休業補償として支払われる金額は、任意で選択できる給付基礎日額に基づきます。(給付基礎日額の60%)
そして、給付基礎日額に基づいた保険料を支払うことになります。


 これ以外の給付もありますので、詳細は厚労省のサイトをご確認ください。↓
 https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040324-5.pdf

 特別加入をする役員の中には、療養補償給付を主な目的として入る方もいます。休業補償給付はより多くの額を受け取るためには、それに応じた保険料を支払う必要がありますが、療養補償給付は保険料の多寡にかかわらず、給付内容は同じだからです。

  また、条件の一つに「労働保険事務組合に事務処理を委託」とありますが、これは商工会議所や社会保険労務士が窓口になっています。

 当所も「中小企業福祉事業団」という労働保険事務組合の幹事社会保険労務士となっていますので、ご関心がございましたらお声がけください。

 中小企業福祉事業団のサイト ↓
  
https://www.chukidan.com/



pagetop

Q12-2 労災保険に特別加入した場合、保険料によって医療の給付内容に違いがあるのでしょうか?

  Q12-1でご相談した和菓子の製造会社です。その後、販路も拡大して地元はじめ都内だけではなく、川崎市のスーパーマーケットにも商品を置いてもらえるようになりました。さて、今回も労災の特別加入について相談に乗ってください。社長と専務が特別加入することになったのですが、支払う保険料によって休業補償給付は差が出ることは分かっていますが、診療に差は出ないのでしょうか?

 A12-2 休業補償給付は保険料によって異なりますが、医療機関による診療等については保険料による違いはありません。

 

 A15.

 ○○○○ 労災保険の主な給付 「療養」と「休業」 ○○○○

労災の給付には、まず「
療養補償給付」があります。その範囲は労災保険法 第13条にあり次の通りです。(抜粋)


・診察 ・薬剤または治療材料の支給 ・処置、手術その他の治療 
・病院又は診療所への入院

また、「
休業補償給付」として、給与の6割が補償される、という制度もあります。(労災保険法 第14条)
「労災の補償」というと、このイメージが強いのではないでしょうか。


                ○○○○ 
労災保険料はいくら位なのか? ○○○○

 労災保険料は、労働者の年収×労災保険料率です。労災保険料率は「その他の各種事業」の場合、3/1000です。
例えば年収350万円では、10,500円です。(全額会社が負担)なお、労災が発生しやすい事業では高くなります。(最大88/1000)

そして、役員労災保険に特別加入する場合は、上記の「年収」に相当する金額を任意に決められます。
9,125,000円から1,277,500円まで16段階あります。

保険料は「その他の各種事業」の会社において年収相当額9,125,000円を選んだ場合、27,375円(年間)
また、休業をした場合の休業給付は1日当たり15,000円です。(9,125,000円÷365日×0.6)

同様に、年収相当額1,277,500円では、3,682円(年間)です。
休業給付は1日当たり2,100円です。1,277,500円÷365日×0.6)


                ○○○○ 特別加入は休業補償だけが目的ではない ○○○○

特別加入をすると保険料に応じた休業(補償)給付を受けられますが、必ずしもそれを第一の目的とはしない考え方もあります。

つまり、休業(補償)給付よりも療養(補償)給付を受けられることを目的にする、という事です。こちらは支払った保険料とは関係なく、
自己負担額が0円となりますので、一つの方法です。

休業(補償)給付は、それ程もらわなくても良いけれど、医療機関でしっかりと対応してもらいたい、という
考えに合った方法でしょう。


pagetop

Q12-3 休業補償給付の最初の3日間は会社が支払いますが、給与と一緒に支払っても良いのでしょうか?

  当社の工場で働く従業員が、検査が必要な製品を段ボールに入れて製造現場から検査室に運んでいる途中、廊下の一部が掃除後のため滑りやすくなっていたため転倒してしまいました。腰部を打ったためしばらく歩くのに支障があるため、1週間ほど休むことになりました。労働基準監督署には休業補償給付を支給申請しました。休業補償給付が支給されるのは4日目からであり、最初の3日は会社から支給することになるようですが、これはどのように本人に渡せばよいのでしょうか?

 支給方法は特に定まっていませんので、現金で渡しても構いません。あるいは給与と一緒に支給する方法もあります。

 給与で支払う時は、支給項目ではなく控除項目でマイナスをたてて計上した方が良いです。
支給項目で支払うと、年間などの累計を集計した時に人件費総額として掴みかねず、また、課税の有無、雇用保険や社会保険の対象内外などの項目設定も面倒です。

 控除項目でマイナスとすれば、マイナス × マイナス = プラス でご本人に渡る事になります。



関連ページ

人事労務相談の特長
就業規則の作成,見直し
社長のブレイン