人事労務のQ&A

【4 年次有給休暇

Q4-1   パートタイマーやアルバイトにはどのように年次有給休暇を付与すれば良いでしょうか?

Q4-2   定年後に再雇用した場合の勤続年数はどの時点から数えるのでしょうか?


Q4-3   契約社員やアルバイトが正社員になった時の勤続年数はどのように数えると良いでしょうか?

Q4-4   退職が目前の従業員にも年次有給休暇は法定通りの日数を付与しなくてはいけないのでしょうか?

Q4-5   午前と午後の就業時間が異なる場合には、半日年休はどのように設定すれば良いでしょうか?

Q4-6   パートタイマーの勤務時間が増えた時や、1週間の勤務日数が増えた時は年休の取り扱いはどう変わるのでしょうか

Q4-7   いわゆる「フルタイムパート」で働く従業員の年休も比例付与になるのでしょうか?


Q4-8   半日単位の年次有給休暇の取得日数に上限はありますか?

Q4-9   育児休業期間中の従業員にも年次有給休暇は付与するのでしょうか?


Q4-10 管理職にも年次有給休暇の5日付与義務はあるのでしょうか?


Q4-11 半日単位の年次有給休暇は制度として導入する必要があるのでしょうか?

Q4-12 年次有給休暇の買い上げは可能でしょうか?

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1 勤怠管理

Q 1-1 【家族が新型コロナウイルスの濃厚接触者になり従業員が会社を休んだ場合、給与を支払う必要があるのでしょうか?】

 従業員の子供が新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者となりました。通学する小学校の級友がオミクロン型に感染したためです。当社の従業員も数日間、会社を休むことになりましたが給与を支払う必要はあるのでしょうか?なお、現時点では従業員と家族は新型コロナウイルスに感染はしていないようです。

A 1-1

 従業員のお子様が通う幼稚園・保育園・小中学校・高校などで新型コロナウイルス感染者が出た事により濃厚接触者として自宅待機を余儀なくされるケースがあります。特に小さなお子様の場合は家に一人にする訳にはいかず、親である従業員も会社を休み、家族全員で自宅待機ということも珍しくはありません。

 理論的には従業員が自発的に休んだ場合は欠勤扱いで給与の支払いは必要
ありません。
この場合は年次有給休暇の取得という選択肢もあります。

 一方で会社の指示で休んでもらう場合は労働基準法上の休業手当の支払いが必要です。

しかし、自発的に休むことと、会社の指示で休むことの境界線はあいまいです。
自発的に休んだとしても、そこに会社からの無言の圧力がある場合もあります。(会社側は意識していないとしてもです。)

 そのため、実務上は従業員ご本人に年次有給休暇(給与の10割)か休業手当(給与の6割)のいずれかを選択してもらうのが望ましいといえます。
 なお、ご本人が感染した場合は健康保険の傷病手当金の対象となります。


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Q 1-2 【 2日間にまたがる勤務をした従業員には、代休も2日与える必要があるのでしょうか? 】

当社はシステム開発を行っていますが、納期間近になると従業員の中には、徹夜勤務する者も出てまいります。

先日も、ある従業員が土曜日の夕方、午後5時に出社し、翌日の日曜日、午前9時に退社しました。
(実際の勤務時間は、休憩1時間を除いて16時間でした。)

その後、この従業員から2日分の代休申請がありました。本人は、土日それぞれ約8時間ずつ勤務しているので、代休は2日とれる、という認識です。
本人の申し出通りに対応しなければいけないのでしょうか?

 A 1-2 

結論から申し上げますと、代休は『1日』です。

根拠となる通達があります。(昭和28.3.20 基発136


「その労働が継続して翌日まで及んだ場合には、の所定労働時間の始業時刻までの分は、前日の超過勤務時間として取り扱われる。」

つまり、日曜日まで仕事が続き、そのまま始業時刻を過ぎたならば、「2日間」となりますが、今回は始業時刻を超えていませんので、前日からの残業扱いとなります。

従って、代休は1日で良い事になります。

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Q 1-3 【 出向者の勤怠管理は出向先である当社で行うのでしょうか? 】

当社は、家庭用品を品揃えの中心とした、ディスカウント店を複数運営しており、取引企業などからの出向者を何名か受け入れております。基本的なことになりますが、出向者の勤怠管理の原則を教えてください。

A 1-3

遅刻・早退・欠勤をはじめ、有給休暇の取得、休業などの「勤怠管理」は貴社で行います。この場合、基本的には貴社の社員と同様の管理方法でよろしいかと存じます。


その上で、出向元から、管理方法についての個別依頼があれば、都度、協議の上、運用をすれば良いと考えます。

出向中の労働関係については、一般的には次のように考えられています。

『出向労働者は出向企業に対しその指揮命令のもとで労務提供を行うので、出向企業の勤務管理や服務規律に服することとなる。』

(労働法 第12版 739頁 菅野和夫)

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Q 1-4 【  転籍には従業員の同意が必要ですが、出向は同意なく命じることができるのでしょうか? 】

当社は家庭用品を製造する会社です。主に企画・製造を行い、全国の量販店・小売店に販売しています。また、別法人として関連商品を通信販売する会社と、異業種となる観賞魚の小売店を運営する会社、野菜の温室栽培を行う会社があります。これらの4社間では、人事異動などの交流がありますが、主に出向の形態をとり、一部、役員として他社に異動する場合などは転籍の形態をとっています。
 今まで、転籍を命じる者には個別に同意を取っていましたが、出向の場合は、その年限にかかわらず、同じ会社内の異動と同様に特に同意は取らずに行っていました。この運用で問題はないでしょうか?

A 1-4

 誤解されることが少なくないのですが、出向にも同意は必要です。但し、転籍には個別同意が必要ですが、出向には包括的同意があればよいとされています。具体的には就業規則や労働協約に「出向させることがある。」という定めが必要となります。また、できれば雇用契約書にも記載した上で取り交わす時に口頭で説明するとより良いでしょう。

 従って、貴社の場合はグループ各社の就業規則に「出向」「転籍」について定めてあれば問題ありません。
但し、法的に問題はなくても、貴グループでは業種が異なる複数の会社があります。労働者の仕事内容が大きく変わる可能性がありますので、出向についても個別同意を取ることがトラブル予防になります。

 また「出向」の場合、短期間で出向元に戻ってくると認識されることが多いですから、数年間にわたる長期間としないことが望ましいです。
(法的に上限年数などが定められている訳ではありません。)

 繰り返しになりますが、実務で「出向に同意はいらない」というのは「個別同意のこと」になりますのでご注意ください。


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2 勤怠管理と給与

Q 2-1 【  パートタイマーを所定の終業時刻より早く帰した分の給料は支払わなくても良いのでしょうか? 】

当社では時給制のパートタイマーを雇用しています。先日、そのうちの数人について、雇用契約で定めた終業時刻より早く業務が終わりました。(7時間勤務のところ、5時間で勤務終了)

このような場合、時給制なので、仕事をした時間に対してだけ、給料を支払えば良いのでしょうか?あるいは、本来の終業時刻までの給与を支払うべきなのでしょうか?

A 2‐1

原則は、雇用契約で取り決めた時間を働いてもらい、その労働時間に対して、賃金の全額を支払うことです。(労働基準法第24条(賃金の支払い)

しかし、ご質問のように雇用契約書で定めた終業時刻より早く仕事が終わった場合、賃金の支払いについては、次の2通りが考えられます。

(1)本人の同意がある場合
貴社からの支払いは必要なくなります。しかし、労働基準法は強行法規ですので、後日に、本人がこの同意を翻意した場合には、改めて貴社には、未払い分を支払う必要が生じます。

(2)本人の同意がない場合

労働基準法 第26条(休業手当)が適用されます。

なお、1日のうち、一部の休業であれば、下記の通達にあるように、早く帰ってもらっても、実際に働いた時間だけの支払いで良いことになります。

『1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由による休業がなされた場合にも、その日について平均賃金の60/100に相当する金額を支払わなければならないから、現実に就労した時間に対して支払われる賃金が平均賃金の60/100に相当する金額に満たない場合には、その差額を支払わなければならない。』
(昭27.8.7 基収3445

具体的には、日給8,000円で8時間労働の契約があり、4時間で仕事を終わりにさせた場合は、4,000円の給与が支払われます。他方、平均賃金は8,000円の6割で4,800円ですから、4,800円に不足する800円を休業手当として支払う必要があります。厳密に言えば、平均賃金は総支給額を暦日で割るので、これよりも少ない金額になりますが、ここでは4,800円と考えます。)

同様の契約で、5時間で仕事を終わりにさせると給与は5,000円です。これは平均賃金を上回っているので、休業手当の支払いは必要ありません。


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Q 2-2 【 休業手当を支払う場合、直近3ヶ月間に病欠が多かった従業員の平均賃金はどのように計算するのでしょうか? 】

当社では、仕事が減っており、来月に一部の従業員を休ませる予定です。
そこで「休業手当」を支払う準備をしていますが、ある月給制の社員は平均賃金を求める直近3ヶ月間に体調不良が続き、毎月10日前後の欠勤があります。
そのため、そのまま計算すると休業手当が極端に少なくなってしまいます。
この場合でも原則通りの計算によって休業手当を求めるのでしょうか?

A 2-2

休業手当の計算については、労働基準法第26条(休業手当)に平均賃金の百分の六十以上、と定められています。
そして、「平均賃金」は労働基準法第12条に一般的な算出方法のほか、時給制や日給制の労働者の算出方法が定められています。
(この詳細はここでは割愛します。)

ご質問は、月給制(月給日給)で欠勤の多い社員のケースなので、「過去3ヶ月に欠勤が多かった場合」という下記の通達に沿った計算となります。
通達で示す算出方法で求めた金額と、一般的な算出方法で求めた金額をそれぞれ求めて、高い方の金額を平均賃金とします。
『いわゆる月給日給制の平均賃金の最低保障額は、欠勤しなかった場合に受けるべき賃金の総額をその期間中の所定労働日数で除した金額の一○○分の六○とする。』(昭和30年5月24日 基収1619)

補足説明をします。
1 「欠勤しなかった場合に受けるべき賃金の総額」
実際に支払われた賃金ではなく、欠勤控除が無かったとして通常時に支給される月給のことです。
2 「所定労働日数で除した金額」
「実際に出勤した日数」つまり労働基準法第12条第1項第1号にある「その期間中に労働した日数」ではありません。
1年の総労働日数÷12ヶ月=1ヶ月の所定労働日数として、求められる日数です。例えば、20日とか20.7日などの日数です。

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Q 2-3 【 残業代は1分単位で支払わなければいけないのでしょうか? 】

当社では、残業(時間外労働)の支払いは15分単位で行っています。
例えば終業時刻を8分過ぎて残業をしていても、残業時間は0分であり、17分過ぎた場合は、15分としています。
つまり、15分未満の残業は切り捨てている、ということになります。
これは違法と従業員が主張するのですが、どうしてなのでしょうか?
根拠を教えてください。

A 2-3

写真:賃金計算のイメージ

労働基準法 第24条では次のように定めています。
これが時間管理は1分単位で行うことの根拠です。

第1項
『賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(後略)』
そして、第2項には
『賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。(後略)』

これらが、「賃金支払い5原則」とよばれるものです。
これら原則のうち「全額」払いがあるため、1分単位で時間管理をして賃金を支払う必要があります。貴社のように、15分単位で数分を切り捨ててしまうと、全額支払いになりません。

なお、これには次の通達(昭和63.3.14基発150)で例外が認められています。

『割増賃金計算における端数処理として、次の方法は、常に労働者の不利となるものではなく、事務簡便を目的としたものと認められるから、法第24条及び第37条違反としては取り扱わない。

(一)一か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に一時間未満の端数がある場合に、三十分未満の端数を切り捨て、それ以上を一時間に切り上げること。(後略)』

従って、上記の例外を除けば、時間外労働(早出・残業等)は1分単位で管理する必要があります。

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Q 2-4 【 遅刻や早退も1分単位で支払わなければいけないのでしょうか? 】

残業(時間外労働)を1分単位で行うことは理解しました。
実は遅刻や早退も15分単位で行っています。
例えば始業時刻に2分遅れた場合は15分の遅刻として、18分遅れた場合は、30分の遅刻としています。
これも問題があるでしょうか?

A 2-4

写真:残業のイメージ

遅刻早退時間の減額についての通達があります。(昭和63.3.14基発150)

『(前略)
3 遅刻・早退についてその時間に比例して賃金を減額することは違法ではないが、遅刻・早退の時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみなされ、法第91条の適用を受ける。』

そして、労働基準法第91条は「制裁規定の制限」であり、次のように定められています。

『就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。』

また、Q19にある「賃金の全額払いの原則」があるため、実際の遅刻早退時間を上回っての減額は法に抵触します。

また、Q19でご紹介した通達、

「一か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に一時間未満の端数がある場合に、三十分未満の端数を切り捨て、それ以上を一時間に切り上げること。」
これについても、時間外労働、休日労働、深夜業に関してのことですので、遅刻早退時間の集計には適用されません。

従って、遅刻早退を減額するには1分単位とするか、
あるいは15分や30分単位で管理する場合は、実際の時間を超えた分の減額はペナルティ扱いとして、就業規則に定めた上で運用する必要があります。
(但し、この場合も労働基準法第91条の「制裁規定の制限」の範囲内の減額にとどめなければいけません。)

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Q 2-5 【  1時間遅刻した者が終業時刻以降1時間働いた場合はどう処理すればよいでしょうか? 】

当社の就業時間は、9:00から17:00の7時間です。
ある社員が1時間遅刻して10:00に出勤しました。そして、終業時刻を1時間超えて18:00に退勤しました。
昼休み1時間を取っているので、労働時間は7時間です。

この社員の給与計算をします。まず遅刻1時間分を減額します。一方、終業時刻以降の1時間は時間外労働になると考えますが、当社の給与規程では、遅刻早退を減額する定めのほか、「時間外労働は所定労働時間を超えた部分として時間外労働手当を支払う。」としています。
そうすると、この社員の労働時間は7時間なので、時間外労働手当は支払わず1時間分の減額をするだけで良いのでしょうか?


A 2-5

写真:賃金計算のイメージ

お考えの処理では7時間の労働に対して6時間分の給与しか支払わないことになり問題があります。

確かに、貴社の給与規程の「
時間外労働は所定労働時間を超えた部分として時間外労働手当を支払う。」に従えば、終業時刻の17:00を過ぎても仕事をしていましたが、所定労働時間である7時間を超えていないので時間外労働手当は支払わないことになります。

しかし、労働基準法第24条(賃金の支払)では、『賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。』としています。つまり、時間外労働手当は支払わなくても良いですが、通常の1時間分の給与を支給する必要があります。従って、遅刻1時間分の減額と1時間分の給与とで相殺されますので、この日の給与額は通常の日と変わらないことになります。

 それでは、給与規程に「遅刻をした日については終業時刻以降に労働をしても給与は支給しない」と規定するとどうなるでしょうか?
この場合でもこのケースのように実際に労働した時間に対しては給与を支給する必要があります。
 これは就業規則よりも労働基準法の定めが優先されるからです。

 そうすると、遅刻1時間に対して金銭面でのペナルティ効果が無いという事で不満に思われるかも知れません。
 その場合は、賞与査定や人事評価において遅刻や早退した事をマイナス評価とする事で対応する方法があります。

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3 懲戒・解雇・退職勧奨

Q 3-1 【 体調不良のため、遅刻や欠勤が多い社員は解雇できるでしょうか? 】

当社に体調不良を理由に、最近1年間において、月に5~6回、遅刻または欠勤している社員がいます。

勤怠が不安定なため、仕事を任せにくいことがある上、上司の指示通りに仕事をしないこともあります。会社としては、勤怠の改善をするように本人に注意しているのですが、多少の改善が見られたかと思うと、元に戻るような状況で、職場では困っています。

当社の就業規則では「勤怠不良」が解雇理事由にありますが、どの程度の勤怠不良であれば解雇ができるのか、また解雇が出来るとして、注意すべき点などはありますか。

 なお、解雇と退職勧奨についてはこちらのページもご参照下さい。 → 「解雇と退職勧奨」

A 3-1

遅刻・欠勤が多い場合に、どの程度で「解雇」できるか、という数値基準はありません。

考え方としては、どの程度、業務に支障をきたしているか否か、が一つの判断基準になるでしょう。

しかし、今回のケースで解雇に踏み切るのは、少々、難しいのではないかと考えます。

すでに、注意しているとの事ですが、解雇をご検討する前に、本人が勤務態度を改め、雇用継続となるよう、引き続き、再三の注意を促していくことがまずは、会社としてするべき事でしょう。

その際には、人事担当者が立ち会う、強めに注意指導する、など今までとは意識的に接し方を変えることにより、本人に自覚を促すことができると思われます。

また、改善するまでの期限を設定することにより、本人に改善への意識を高めてもらうこともできるでしょう。

しかし、その期限までに一定の改善がなされない時は、残念ながら、次の対応を検討せざるを得ないと考えます。

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Q 3-2 【 入社時に健康状態を偽って採用された社員 】

当社は、通年で中途採用をしています。先日、面接時に「健康状態は良好」と回答しながら、入社後2週間で、うつ病を理由に休職を申し出てきた従業員がいます。話を聞くと、前職でも同じ理由で数ヶ月間、休職していたようです。

当社としては、面接時に健康状態について虚偽の回答をしたことを問題視していますが、何らかの処置はできるのでしょうか?

A 3-2

最近は、メンタル不全によって休職・復職を繰り返す従業員の対応に苦慮するケースが増えてきました。

貴社では、面接時に「健康状態」について質問をされたようですが、会社によっては、持病や、最近の通院状況などの確認をしたり、ご自身の健康に関する簡単なアンケート用紙の提出を求める場合もあります。(ただし、強要はできませんので、ご注意ください。)

なお、健康状態に不安がある事だけを理由に、不採用とするのではなく、ご本人の健康状態を把握した上で、適切な配属や就業管理をしていく事が望ましいです。

さて、面接では「健康良好」と答えながら、何らかの病気を発症して、業務に支障が出る場合などは、面接時における「真実告知義務違反」として、採用を取り消せる場合もあります。

この「真実告知義務」について、判例の考え方は、次のようになります。

・採用にあたり使用者が経歴を質問した場合、労働者は原則としてこれに応じる義務を負う・経歴詐称をした場合に、真実を告知していたら採用しなかった程の詐称であれば、
懲戒解雇は有効となる。

もし、貴社でのケースが「真実告知義務」に該当するならば、解雇をはじめとする何らかの懲戒が可能と思われます。

しかしながら、懲戒解雇はもちろん、解雇も最終的なものとして、まずは、そこに至らない処置をされることが望ましいものと考えます。


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Q 3-3 【 従業員が退職する場合、退職は何日前に申し出れば良いのでしょうか? 】

いわゆる「退職代行会社」を通じて従業員が退職を申し出てきました。本人とは連絡が取れなくなり、その者が所属する部署も困っています。また、社会人としても非常に無責任な態度であると言わざるを得ません。今回のケースでは「14日後」に退職をしたい、それまでに残っている年次有給休暇を取得したい、という主張を一方的にしています。当社の就業規則では退職する時は「少なくとも1ヶ月前」に申し出るように定めていますが、本件はどのように取り扱えば良いでしょうか?また、退職は何日前までに申し出るべきものなのでしょうか?


A 3-3

△□○ 労働基準法での取り決め △□○

労働基準法では従業員の退職申し出についての定めはありません。
ただし、会社側からの解雇は次のように定めがあります。

第20条(解雇の予告)
「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。」



△□○ 民法での取り決め △□○


従業員からの申し出は民法に定めがあります。少し長いですが、第1項から第3項まで引用します。(ポイントは第1項です。)


第627条(期間の定めのない雇用の解約の申し入れ)

第1項『当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
    この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。』

第2項
『期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。
    ただし、その解約の申入れは、
当期の前半にしなければならない。』

第3項
『6ヶ月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは3ヶ月前にしなければならない。』

( 補足します。)

【 第1項 】
「当事者」とは会社と従業員のことです。会社、従業員ともに2週間前に申し出る、と定めています。しかし、会社側は労基法第20条で修正され「30日前」となり、従業員側は、民法627条がそのまま適用され「14日前」となります。

ご質問にある退職代行会社を通じての退職の申し出はこれが根拠です。
就業規則で申し出期間を「1ヶ月前」などと定めることは、後任者に引き継ぎをするなど、円滑に業務を進めるために合理的な設定ではあるのですが、最終的には「14日前」の申し出を受け入れざるを得ません。

【 第2項 第3項 】

主語が第2項は「使用者」です。第3項は「前項の解約申入れは」として第2項を受けているので、こちらも「使用者」です。
つまり、第2項と第3項は会社からの申し出について定めています。

第2項は2017年に改正(2020年に施行)されました。「
使用者からの」という6文字が追加されたことで、意味が大きく変わりました。

 改正前「解約の申入れは」→ 対象は会社と従業員。
 改正後「使用者からの解約の申入れは」→ 対象は会社だけ。


△□○ 14日前に申し出られても困る △□○

「退職代行会社」を使わずとも、従業員自身が14日前に退職を
申し出ることもあるでしょう。
会社としては、まずは就業規則に定めた申し出期間を守るように本人に伝えます。
会社として、後任の採用や引き継ぎに必要な期間を
定めた合理的なものだからです。

しかし、それでも本人が強硬に14日後の退職を主張するならば、
前述のように会社はこれを受け入れざるを得ません。


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4 年次有給休暇

Q 4-1 【 パートタイマーやアルバイトにはどのように年次有給休暇を付与すれば良いでしょうか? 】

当社は、繁華街に構えた複数の店舗で、持ち帰り(食べ歩き)用のソフトクリーム等を販売しています。各店舗では学生アルバイトが中心になって働いています。

同じ大学の友人やサークル仲間が一緒にアルバイトをする事も多く、皆、楽しみながら仕事をしており、サークル活動にも似た雰囲気になっています。

多くの学生アルバイトは週に2~3回の勤務、1回の勤務は4~5時間程度と、労働時間は長くありません。また、就職活動が始まるまでのアルバイト活動なので、長くても3年程度という事もあるので、年次有給休暇を付与していません。しかし、大学で労働法のセミナーを受講したアルバイトの1人が「学生アルバイトでも年次有給休暇があるそうです。」と報告してきました。やはり付与する必要はあるのでしょうか。

A 4-1

写真:ビジネスイメージ

アルバイト学生やパートタイマーなどの短時間労働者であっても、年次有給休暇を付与する義務があります。

年次有給休暇は労働基準法に定められており、同法で対象となるのは「労働者」です。
同法第9条(定義)では、労働者について次のように定義されています。


『「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。』

つまり、給料を支払っているのであれば、週1日だけ勤務するパートタイマーやアルバイトにも年次有給休暇を付与する必要があるという事です。

ただし、年次有給休暇が付与されるのは、1年間に48日以上の出勤日数がある人です。

また、就業日数が少ないパートタイマー・アルバイトには週5日、40時間の勤務をする正社員よりも少ない日数の有休が付与されます。

これを「年次有給休暇の比例付与」と呼びます。(労働基準法 施行規則第24条の3)
比例付与の日数は次のようになっています。

週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の付与日数

週所定

労働日数

1年間の

所定労働日数※

継続勤務年数(年)
0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上

付与日数

(日)

4日 169日~216日 7 8 9 1012 13 15
3日 121日~168日 5 6 68 9 10 11
2日 73日~120日 3 4 4 5 6 6 7
1日 48日~72日 1 2 2 2 3 3 3

※週以外の期間によって労働日数が定められている場合

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Q 4-2 【  定年後に再雇用した場合の勤続年数はどの時点から数えるのでしょうか? 】

当社は酒類のルート配送を行っています。トラックに酒類やジュースなどの飲料ケースを積み込み、決められた飲食店に届けるのですが、ケースはかなり重く、トラックの運転では安全運転が必須です。

当社では社員が60歳に到達した月の末日を定年退職日としています。その時点で退職金も支払っています。その後、本人の希望があれば1年ごとの雇用契約を結んで最長で65歳まで働いています。

定年後の仕事は、体に負担の大きい配送ではなく、倉庫での整理業務や事務作業などを中心に担当させています。また、就労日数も週に2~4日程度となります。

前述のように60歳の定年時に退職金も支払った上で再雇用としているので、勤続年数についても一旦、0としています。そのため、年次有給休暇での勤続年数も0年に戻るのですが、問題があるでしょうか?

A 4-2

写真:トラックのイメージ

問題があります。定年前後の勤続期間は通算する必要があります。

多くの企業では60歳定年後に、雇用条件を変更して再雇用する制度を取り入れています。
ご質問のように退職金を支払ったり、社会保険の被保険者資格を喪失することもあり、「いったん、退職」という印象が強くなります。

しかし、一般的には定年と再雇用の間には1日の空白もないか、空白期間があるとしても、ごく短期間でしょうから、勤務に継続性があると判断できます。
勤務に継続性があるならば、勤続期間は通算されることになります。

ところで、有休の付与日数は、勤続年数が6ヶ月で10日、6年6ヶ月で20日です。
そのため、定年後の再雇用において、従来の勤続年数が通算されるか否かによって、付与される日数が大きく変わってしまいますので、ご本人にとっては大きな問題でしょう。

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Q 4-3 【 契約社員やアルバイトが正社員になった時の勤続年数はどのように数えると良いでしょうか? 】

当社は企業や地方自治体向けのイベント企画・運営、販促商品の企画・製造委託・販売を主に行っています。当社では社員の他に、契約社員・パートタイマー・アルバイトなどの複数の雇用形態があります。現在、会社が拡大しているため、人材を確保することが優先されています。多様な雇用形態は、採用の間口を広げ、同時に求職者にとっては応募する際の心理的ハードルを下げる意味もあります。ただし、入社後はプロジェクトの責任者として業務を担当する正社員に雇用形態を転換してもらいたいと思っています。実際に毎年10名以上が、正社員に雇用形態を変更しています。

そして、正社員に転換する際はモチベーションを向上させるために改めて入社式を行っています。

この時点で雇用契約書も正社員として書き換えますので、勤続年数も0からカウントしています。以前から、この取り扱いが正しいか疑問があるのですが、いかがでしょうか?

A 4-3

現在の運用は誤っています。雇用形態が変更となる前後の勤続期間は通算してください。

前述のご質問は、定年退職する正社員が短時間労働者になるケースでしたが、こちらは逆に、契約社員やパートタイマー、アルバイトといういわゆる非正規労働者が正社員(正規労働者)に転換するものです。

特にアルバイトやパートタイマーとしての契約期間や勤続期間が短い(6ヶ月以下)場合は、その期間を試用期間のように位置付けて、正社員になったところから勤続年数をカウントする、という運用をしている会社も散見されます。

年次有給休暇の付与は、「労働者」に対してなされます。
雇用形態が異なる契約社員、パートタイマー・アルバイトは、全て「労働者」なので雇用形態が正社員に変更となっても勤続年数は通算されます。

また、その逆に正社員からパートタイマー・アルバイトに転換した場合でも勤続年数は通算されます。

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Q 4-4 【 退職が目前の従業員にも年次有給休暇は法定通りの日数を付与しなくてはいけないのでしょうか? 】

当社では毎年1月1日に従業員に対して年次有給休暇を付与しています。
しかし、従業員の中には、年度末である3月31日に当社を退職して他社に転職するという従業員が毎年、2~3名はいます。

当社では退職をする場合は、少なくとも3ヶ月前には会社に申し出ることになっており、3月31日に退職を希望する従業員は12月31日までに退職願を会社に提出しています。
つまり、退職する事を知ってからすぐに年次有給休暇を付与することになります。

いつも「退職する間近の従業員に年次有給休暇を付与する必要があるのだろうか」と感じています。全日数を付与する必要があるのでしょうか?あるいは、全日数とまではいかずとも「比例付与」のような制度はないのでしょうか?

A 4-4

写真:ビジネスイメージ

結論から申し上げれば、全日数の年次有給休暇を付与する必要があります。
また、残りの在職期間に応じて比例付与する事などは認められていません。

ご質問のようなケースは多くの会社であります。
特に円満退社といえない場合に、このような思いが強い傾向があります。

このケースでは、本来は1月1日に付与された年次有給休暇は同年の12月31日までに取得すれば良いのですが、3月31日に退職するのであれば、3ヶ月間で全ての年次有給休暇を請求することもできます。

たしかに会社として年次有給休暇の「時季変更権」はありますが、実務上、時季変更権を行使することは難しいので、実際には従業員から請求のあった年次有給休暇全て認めざるを得ません。

そうなると引き継ぎが心配になりますが、引き継ぎに支障が出ないよう、適正な日数のみ年次有給休暇を取得するように、直属上司や同僚と話し合って調整をする必要があるでしょう。

とは言っても、年次有給休暇は労働者の権利ですから、引き継ぎを確実に行う事を優先した結果、取得できなかった年次有給休暇が生じた場合は特例として買い上げる、などの措置を行った方が、トラブルにつがならないと考えます。

☆☆☆☆ もう少し詳しく説明  ☆☆☆☆

【年次有給休暇の基本的な考え方】

労働基準法 第39条(年次有給休暇)第5項

「使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。
ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」


これを「時季変更権」と呼びます。

ポイント1
条文にある「事業の正常な運営を妨げる場合」は、会社にとって厳しく考えられています。つまり、基本的には時季変更権の行使は難しいことになります。

ポイント2
時季変更権が認められても、「他の時季に与える」と定められているので、「有休を取るな」という事はできず、あくまでも「時季の変更」になります。


ある従業員が退職するので、後任者に引き継ぎをしないと業務に支障が出る、という事は「事業の正常な運営を妨げる場合」に当たると考えられます。
この事情だけを考えると時季変更権は行使できそうです。(しかし…後述する学説をご参照ください。)

なお、引き継ぎをしないでも問題が無い場合は、当然ながら「事業の正常な運営を妨げる場合」には当たりません。
(ただし、会社の人員計画に齟齬が生じたり、他の従業員に何らかの負担がかかることを考えると、これも「正常な運営を妨げる場合」となりそうです。)


【退職日が近い期間での年次有給休暇の請求】
通説では次のようになります。

「時季変更権の行使には『他の時季にこれ(年休)を与える』可能性の存在が前提となる。そこで、労働者が退職時に未消化年休を一括時季指定する場合には、
その可能性がないので時季変更権を行使しえないこととなる。」(菅野和夫 労働法第12版 P.566 水町勇一郎 詳解労働法P.732も同意)

つまり、退職日が迫る労働者が、残っている年休をまとめて請求しても会社はこれを受けざるを得ない、ということになります。


【会社としてどう対応するか】

まずは、前述の通り、計画的に年次有給休暇を取得してもらう環境を整えることが第一でしょう。
それでも、このような事態が発生した場合は次のような対応が考えられます。

□年休の残日数を考慮に入れて退職日を延ばす。
□年休を取得できない替わりに買い上げる。(年休相当額の手当を支給する。)

なお、年休の買い上げは原則として禁止されています。本来、年休はきちんと取得して「休む」ためのものだからです。
(例えば、従業員が年休を申請した際に、強硬な上司が「うちは年休の買い上げ制度があるんだから、休むな」と言い出すおそれがあります。)

しかし、法定を上回る日数、時効や退職で消滅する年休を買い取る事は違法とはされていません。
「年休の買上げを予約し予約された日数について年休取得を認めないことは、年休の保障(労基39条)に反するが、結果的に未消化の年休日数に応じて手当を支給することは違法でない。」(菅野和夫 労働法 第12版 P.575)

一方、これを問題視する学説もご紹介しておきます。
「年休が時効や退職等によって消滅した場合に、その日数に応じて金銭を支払ういわゆる「事後の買上げ」については、年休の取得を制約するわけではないので労基法39条に違反しないとする見解が一般的であるが、このような取り扱いが容認されると、事後的に金銭の支払いを受けることを期待して労働者が現実の年休取得を控える行動に出ることが考えられ、年休制度の趣旨に反する事態を招きかねない。したがって、事前・事後を問わず、未消化年休に対して使用者が金銭を支払うことは、原則として労基法39条に違反し無効と解すべきである。」(水町勇一郎 詳解労働法 P.747)

私は「事後の買上げ」を明確なルールとしなければ、「事後の買上げ」を期待することもないため問題はないと考えます。つまり、菅野説をとります。


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Q 4-5 【 午前と午後の就業時間が異なる場合には、半日年休はどのように設定すれば良いでしょうか? 】

当社の勤務時間は、午前8時30分から午後5時30分であり、昼休みは12時から午後1時までです。
つまり、昼休みをはさんで、午前勤務は3時間30分、午後勤務は4時間30分の合計8時間となります。

今般、当社では「半日有休」の導入を検討しています。給与は、午前・午後のいずれかに有休を取得しても、4時間分を支給する予定です。
この取り扱いに問題があるでしょうか?

A 4-5

写真:青空のイメージ

ご質問の運用をまとめると次のようになります。

【午前出勤(午後休み】 3.5時間の勤務(4時間分の給与)

【午後出勤(午前休み】 4.5時間の勤務(4時間分の給与)

これには、2つの問題が発生します。

1 午後出勤(午前休み)の場合、4.5時間を働いているのに、給与が4時間分しか支払われません。
 これは、労働基準法の「賃金支払の5原則」のうち、給与全額払いの原則に抵触します。

2 午前と午後で勤務時間に差が出るので、社員に不公平感が出ます。
 (または、皆が午前出勤(午後休み)を選択しかねない。)

解決策としては次の様なものが考えられます。

1 午前出勤(午後休み)は830-1230 4時間勤務にする。

  午後出勤(午前休み)は1330-1730 4時間勤務にする。

但し、この場合、午前出勤の人は昼休みの時間帯に働くことが、問題ではあります。

2 午前出勤(午後休み)は830-12003.5時間勤務
 午後出勤(午前休み)も1400-17303.5時間勤務

なお、この場合、給与は3.5時間分ではなく、4時間分とするのが望ましいでしょう。なぜなら、「半日有休」の制度は、給与も半日分が支給されると、解釈される可能性があるからです。

3 午前3.5時間勤務 午後4.5時間勤務とするが、給与もそれぞれ、3.5時間と4.5時間分とする。

この場合、正しくは「半休」にはなりません。
また、有休の残日数管理も面倒になりますので、半日有休」よりも時間単位の有給休暇とする方が、運用もしやすいのではないかと考えます。

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Q 4-6 【 パートタイマーの勤務時間が増えた時や、1週間の勤務日数が増えた時は年休の取り扱いはどう変わるのでしょうか? 】

パートタイマーの有給休暇は比例付与となりますが、付与した後に、1週間あたりの勤務日数が増減する、1日の勤務時間が増減する、という事もあるのですが、この時はどのように有給休暇を付与すれば良いでしょうか?

A 4-6

次のようなケースが考えられます。


ケース1
【パートが週1日勤務から週3日勤務になった時】
週1日勤務の場合、1日の有給休暇が付与されますが、この人が、週3日勤務になっても、その時点では有給休暇日数は増えません。
週3日勤務になってから到来した付与日において、その勤続期間に応じた有給休暇が付与されます。
(通達 昭和63.3.14 基発150による)


ケース2
【パートの労働時間が増えたとき】
例えば、1日4時間を働くパートが、
有給休暇を取得した場合は、時給×4時間分の給与を支払う必要があります。
そして、この人が1日6時間働くようになった場合は、
有給休暇の取得日における所定労働時間に応じた給与、つまり、時給×6時間分の給与を支払う必要があります。もちろん、これは労働時間が減った場合も同様です。

(通達 平成11基発168号による)

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Q 4-7 【 いわゆる「フルタイムパート」で働く従業員の年休も比例付与になるのでしょうか? 】

当社は社員のほか、パートタイマー(主に女性)とアルバイト(主に大学生)を雇用しています。

社員は1日8時間×週5日勤務で、1週間の労働時間は40時間です。
パートタイマーやアルバイトの多くは、1日は4~7時間、週2~4日の勤務なので年次有給休暇は比例付与としています。

しかし、中には1日8時間×週4日で、1週間に32時間勤務するパートタイマーがいます。本人は比例付与ではなく、通常の有給休暇日数をもらいたい、と言っているのですが、その必要はあるのでしょうか?

A 4-7

写真:森林のイメージ

年次有給休暇の比例付与は、労働基準法 第39条(年次有給休暇) 第3項に、次のように定められています。その上で、具体的な日数は労働基準法施行規則第24条の3(所定労働日数が少ない労働者に対する年次有給休暇の比例付与)に定められています。

『次に掲げる労働者(1週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上のものを除く。)の有給休暇の日数については、比例付与とする。
・勤務日数が1週間に週4日以下の労働者
・勤務日数が1年間に216日以下の労働者』

ここでのポイントは括弧内の「1週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上のものを除く。」という部分です。
この部分の「定める時間以上」は「30時間以上」となります。
この事は、前述の労働基準法施行規則第24条の3に定められています。

勤務が週30時間以上の労働者は年次有給休暇の比例付与の対象から除く、
つまり、通常の年次有給休暇を付与する、という事になります。

従って、ご質問にある週32時間勤務のパートタイマーについては、ご本人の申し出通り、通常の年次有給休暇を付与する必要があります。

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Q 4-8 【 半日単位の年次有給休暇の取得日数に上限はありますか? 】

当社では、年次有給休暇は1日単位の取得しか認めていません。しかし、半日単位の方が使い勝手が良いので認めてほしい、という従業員からの希望が多くあるため、来年度(4月)から就業規則を改定して、半日単位の有休を正式に制度にする予定です。ところで1時間単位の年次有給休暇は上限日数を5日までと定めていますが半日単位の有休にも上限日数はあるのでしょうか?あるとするならば、何日になるのでしょうか?

A 4-8

写真。ベンチのイメージ

半日単位の年次有給休暇(以下「有休」)の取得に上限日数はありません。しかし、有休の原則はまるまる1日休むことです。
1日間、休まないと疲れが取れない、という考え方です。そのため、半日単位の有休については通達で「年次有給休暇は、一労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない。」(昭和24年、63年)としています。
つまり「会社は半日単位で付与する義務はないけれど、付与してもいいよ。」というスタンスです。(半日単位の有休は労働基準法に定めは無く、この通達が根拠となります。)

一方、「時間単位の有休」は労働基準法39条に定めてありますが、上限を5日以内としています。

これらから、半日単位の有休はその取得に上限日数は無いが、会社としては、有休の本旨である「1日単位」での取得を奨めるとともに、上限日数を設ける場合は、「時間単位の有休」に準じて「5日以内」とするのが良いのではないかと考えます。

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Q 4-9 【 育児休業期間中の従業員にも年次有給休暇は付与するのでしょうか? 】

現在、産後休業期間中で、近々育児休業を取得する予定の従業員がいます。
当人が育児休業に入って2ヶ月程経過すると、年次有給休暇の付与日となるのですが、育児休業を取得している場合も、年次有給休暇を付与しなければいけないのでしょうか?

A 4-9

写真:育児のイメージ

育児休業期間中でも年次有給休暇の付与日が到来したのであれば、勤続年数に基づいて、付与する必要があります。

ただし、次の理由で付与された有休を育児休業期間中は取得できません。
年次有給休暇は「労働日」に対して取得できるものです。
その上で、「労働が免除される」ということになります。

一方、育児休業は既に労働が免除されている状況です。
従って、年次有給休暇は取得できないことになります。

つまり、育児休業期間中の年次有給休暇については、「付与されるが取得できない」という事になります。

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Q 4-10 【 管理職にも年次有給休暇の5日付与義務はあるのでしょうか? 】

2019年4月から、従業員に年次有給休暇を5日付与する事が会社に義務付けられました。
当社では以前から一般社員は5日以上の年次有給休暇を取得していますが、管理職は多忙であることから、年次有給休暇を取得しない者も多数います。
やはり、管理職にも年次有給休暇の5日付与義務はあるのでしょうか?

A 4-10

管理職も付与の対象になります。
2019年4月からの「働き方改革」による法改正の一つに、ご質問にある年次有給休暇(以下、年休)の5日付与義務があります。
中小企業でも猶予措置は無く、同月から適用となっています。
ここで年休の5日付与義務の対象となる労働者は、「1年間に10日以上の年休が付与される労働者」です。
従って、社員はもちろんパートタイマーでも比例付与によって10日以上の年休がある人は対象となります。
そのため、管理職であっても1年間に10日以上の年休を付与される人は、年休の5日付与義務の対象者です。
(短時間労働者かつ管理職という方でない限り、ほとんどの管理職が対象になるでしょう。)
なお、各部署ごとの取得率を算出していることは多いと思います。いわば「縦方向の年休取得率」の確認です。
それだけではなく、「部長」「課長」「マネージャー」「リーダー」など役職ごとに「横方向の年休取得率」を確認することもお奨めします。
「縦方向」と「横方向」のマトリックスを眺めていると、新たな発見があるかも知れません。

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Q 4-11 【 半日単位の年次有給休暇は制度として導入する必要があるのでしょうか? 】

当社では、年次有給休暇は1日単位としているのですが、最近、当社に転職してきた者が、前職では半日単位の年次有給休暇があったが当社ではないのか、と質問してきました。半日単位の年次有給休暇は義務付けられているのでしょうか?

A 4-11

写真:時計のイメージ

年次有給休暇は半日単位での付与は義務付けられていません。
労働基準法では、1日単位での取得のみ規定しています。
(同法 第39条 年次有給休暇)

労働基準法では「休日」を1日単位と考えています。
「休日は1日休んでこそ休日である。」という考え方です。

また、半日単位の有休については、次の旨の通達があります。
『年次有給休暇は、一労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない。』

なお、半日単位の有休を付与する場合は、就業規則にその旨を記載する事が望ましいです。

ちなみに時間単位有休は、労使協定の締結が必要となります。
つまり、時間単位有休の導入はよりハードルが高い、という事です。

私見ですが、時間単位有休はきちんと運用しないと、遅刻した場合に、時間単位有休を申請して事実上、遅刻と相殺するなど、職場秩序の乱れにつながりかねないので、あまりお奨めしておりません。
導入する場合は、「○日前までに申請する」などのルールを明確にしておくことが大切でしょう。

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Q 4-12 【 年次有給休暇の買い上げは可能でしょうか? 】

当社では年次有給休暇の取得を奨励していますが、全日数を取得することはできません。
結局、翌年に繰り越しても取得できず、時効によって消滅してしまいます。
消滅する年休を買い上げることはできないのでしょうか?

A 4-12

年休の買い上げは原則として禁止されています。本来、年休はきちんと取得して「休む」ためのものだからです。
(例えば、従業員が年休を申請した際に、強硬な上司が「うちは年休の買い上げ制度があるんだから、休むな」と言い出すおそれがあります。)
しかし、法定を上回る日数、時効や退職で消滅する年休を買い取る事は違法とはされていません。
通説では次のように説明されています。
「年休の買上げを予約し予約された日数について年休取得を認めないことは、年休の保障(労基39条)に反するが、結果的に未消化の年休日数に応じて手当を支給することは違法でない。」(菅野和夫 労働法 第12版 P.575)
一方、これを問題視する学説もあります。
「年休が時効や退職等によって消滅した場合に、その日数に応じて金銭を支払ういわゆる「事後の買上げ」については、年休の取得を制約するわけではないので労基法39条に違反しないとする見解が一般的であるが、このような取り扱いが容認されると、事後的に金銭の支払いを受けることを期待して労働者が現実の年休取得を控える行動に出ることが考えられ、年休制度の趣旨に反する事態を招きかねない。
したがって、事前・事後を問わず、未消化年休に対して使用者が金銭を支払うことは、原則として労基法39条に違反し無効と解すべきである。」(水町勇一郎 詳解労働法 P.747)
これを別の角度でとらえると、年休の買い上げを有効とするには、会社として年休の買上げは原則禁止(=容認しない)として、買い上げの期待をさせないという事でしょう。
また、「期待をさせない」という観点から、通常の賃金での買い上げではなく、一律○千円、などの通常の賃金より低額での買い上げとする方法も考えられます。
実務においては「消滅する年休は買い上げができる」という理解で終わらず、「その前提として年休が取得しやすい就業環境をつくること」をより強く意識すべきでしょう。(その企業努力の上で初めて年休の買い上げが可能となる。)
なお、失効する年次有給休暇を介護や不妊治療などの特定の用途での利用に限定して繰り越す方法もあります。

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5 健康管理

Q 5-1 【 健康診断を受診したくない従業員にはどう対応すれば良いでしょうか? 】

当社の従業員で、定期健康診断の受診を指示しても、「健康診断の結果はプライバシーに属することだから受けたくない」と主張して、受診しない者がいます。会社としてどう対応すれば良いでしょうか?

A 5-1

 A16.

労働者が健康診断を受診することは法的な義務です。
健康診断は労働安全衛生法第66条(健康診断)において、事業者には行う義務が、労働者には受ける義務がある事を定めています。
労働者が健康診断を受けない場合は同条違反となります。
また、事業者には健康診断の結果を5年間、保存する義務もあります。

ただし、労働者は会社が行う健康診断を受けなくても自分自身で他の医師の健康診断を受けて、その結果を会社に提出することで替えることができます。
なお、同条には罰則もあります。
罰則は会社に対してはありますが、労働者に対してはありません。
(ちなみに50万円以下の罰金です。)

ご質問にある従業員に対しては、まずは法的な義務があることを伝え、受診を促したらいかがでしょうか?
また会社が指定する医療機以外で受診したい正当な理由があるなら、その医療機関での健康診断の結果を提出しても良い事を伝えたらいかがでしょうか。

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Q 5-2 【 退職した社員へは健康診断結果は通知した方が良いのでしょうか? 】

当社の社員が健康診断を受診後に退職することを申し出てきました。
医療機関から健康診断結果が当社に送られてくるのは本人が退職した後ですが、本人に健康診断の結果を伝えた方が良いのでしょうか?

A 5-2

健康診断の結果は、ご本人にお送りください。
労働安全衛生法での義務と考えられます。
また、本人が転職先の会社に入社する際に提出する可能性もあります。
まず、労働安全衛生法 第66条の6(健康診断の結果の通知)では、事業者は労働者に対して、健康診断の結果を通知しなければならない、と定めています。
健康診断の結果は、会社が労務管理に必要であるほか、本人が健康管理に役立てることもできますので、安衛法での「労働者」には「退職後の労働者」も含まれると考えます。
また、労働安全衛生規則 第43条(雇入時の健康診断)では、次のように定めています。
「事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
ただし、医師による健康診断を受けた後、3月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。」
これより、労働者が転職先の会社に提出することも考えられます。



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Q 5-3 【 健康診断を受診しない従業員について、家族の協力を得る事はできないでしょうか?  】

当社の従業員が多忙を理由に健康診断を受診しません。本人は健康診断の必要性は理解しているようですが、外出を言い訳に受診をしません。
特に持論があるという事ではなく、単に受診するのが面倒なようです。会社が注意すると、「すみません、受けるようにします。」と殊勝な
態度を示す割にはここ数年、受診していません。会社からではなく、ご家族(特に奥様)から言ってもらう事は問題ないでしょうか?

A 5-3

法的には問題ありません。もちろん、従業員の家族が協力するか否かもご本人の自由意思ですので強制はできません。
ご家族のうち、配偶者から言ってもらうのが効果的ではないでしょうか。
その際、本人には「奥さんに協力してもらうため連絡する。」と先に伝えると、この時点で健康診断を受診する可能性も高いです。
本人が配偶者への連絡に難色を示すのであれば「会社として従業員の安全配慮義務がある。君としては家族への責任がある。」と説明するのはいかがでしょうか。

また、健康診断を受けた場合にその結果を本人のみならず、家族(特に配偶者)に見てもらう事も有効です。
方法としては、従業員が家族(特に配偶者)に健康診断の結果を見せて、サインやコメントをもらい、会社に提出する方法があります。

例えば「健康診断結果を確認しました。」という不動文字(印刷)の下に配偶者に
サインしてもらい、さらにコメント欄を設けて、
「再検査をさせるようにします」「食生活に注意させます」などと書いてもらう事で、家族ぐるみの健康管理に多少は期待が持てます。

 毎年、健康診断を受けてはいるものの結果通知を開封もせず、自身の健康状態の悪化に気付かないまま、業務の多忙が原因で過労死したという裁判例があります。判決では会社に責任があるとされましたが、ご本人の健康管理にも問題があるということで、会社からの金銭補償のうち5割が過失相殺されました。健康診断の結果を確認していれば、また、家族にそれを伝えていれば、異なる結果になっていたかも知れません。

 診断結果が悪ければ、再検査を受けたり、生活環境の改善を図るなどの行動につなげるべきですし、自分ではなかなか行わなくても、ご家族(配偶者)が気を付けてくれる事もあるでしょう。

 本来、健康管理は自己保健義務もあり自己責任ですが、本人の意識が高くない場合は家族の協力を得る事という選択肢もあると考えます。


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貴社の、労務関連のコンプライアンスチェックをお引き受けしています。

(詳細はこちらをご覧ください。)

6 就業規則

Q 6-1 【 当社は自由な雰囲気を大切にしたいのですが、就業規則は必要ですか? 】

当社は、デザイン業務をメインとする会社のため、社員の創造性を尊重しています。労働基準法などをベースにした就業規則は「古い」「固い」というイメージがあります。最近、社員が10名を超えたのですが、やはり就業規則を作らなければいけませんか?

A 6-1

法的な義務があることはもちろんですが、自由でクリエイティブな雰囲気な会社でも、一定の規律と、企業人としての責任は求められるものと考えます。
自由があれば責任もあります。
必要最小限のルール(就業規則)は定め、柔軟に運用する事をお奨めします。

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Q 6-2 【 パートタイマー用の就業規則を作成しましたが、意見聴取はパートタイマーにするべきでしょうか? 】

当社は、約20名の正社員を中心に仕事をしています。以前より2~3名のパートタイマー(及び一時的な学生アルバイト)もいるのですが、この度、仕事の見直しにより、業務を細分化して定型業務を担当するためのパートタイマーを5~6名追加で雇用することになりました。(一方、正社員にはより創造的な業務や新規業務の獲得に時間を割いてもらう予定です。)
 そのため、パートタイマー向けの就業規則を作成するのですが、意見聴取をするのはパートタイマーとなるのでしょうか?

A 6-1

 一般的に、正社員とパートタイマーとでは、賞与・退職金・特別休暇・休職・慶弔などの取り扱いに差を設けることが多く見られます。
この場合、就業規則はそれぞれの雇用形態によって異なるものにする必要があります。
 
 さて、就業規則を作成した際は「労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。」(労働基準法第90条)とされています。
ここでの「労働者」は全労働者の過半数を代表する者となりますので、それが正社員であればパートタイマーの就業規則であっても正社員の意見を聴けばよいことになります。

 一方、パート有期法第7条では次のように努力義務を定めています。
 短時間労働者に係る就業規則を作成したときは、「当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする。」

 実務においては、正社員とともにパートタイマーの代表者にも意見を聴くことが望ましいと考えます。


 なお、正社員とパートタイマーの職務内容が同一である場合は「同一労働同一賃金」の考え方によって賃金を始めとした労働条件を同一にする必要があるのでご注意ください。ただし、職務内容(仕事の責任や負担、異動の有無)などに差異がある場合はその差異に応じた労働条件の違いは許容されます。
 

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7 労働時間管理・時間外労働等

Q 7-1 【 36協定で特別条項を設定する際の留意点があれば教えて下さい。 】

当社では年に1~2回程度ではありますが、繁忙月に45時間を超える時間外労働が発生する可能性があります。そのため、特別条項を設定しようと考えています。
その際、1ヶ月の時間外労働と休日労働の合計時間数を余裕をもって100時間としたいのですが問題があるでしょうか?

A 7-1

時間外・休日労働に関する協定届(以下、「36協定」)での特別条項において、1ヶ月の時間外労働と休日労働の合計時間数は80時間未満とすることをお奨めします。
いわゆる「過労死・自殺ライン」では、時間外労働と休日労働の合計時間数が過労死・自殺が生じた場合の直前1ヶ月の合計時間数が100時間を超えるか、超えない場合でも直近2~6ヶ月の合計時間数を平均したときに80時間を超える場合は、業務と発症との関連性が強いとされています。つまり、会社の責任を問われかねないことになります。
また、過労死・自殺という事態までに至らずとも、上限時間を80時間超えとした場合、労働基準監督署の調査が入る可能性が高くなります。
令和3年度の「地方労働行政運営方針」には次のように記載されています。(P.20)
『長時間労働の抑制及び過重労働による健康障害を防止するため、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場及び長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場に対する監督指導を引き続き実施する。』
なお、直接に労働基準監督署が調査に来るケースもありますし、「セルフチェック」などの旨で自己診断シートを事業所に送付して回答を求める、というケースもあります。

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Q 7-2 【 勤務時間外の通信教育受講は、労働時間になるのでしょうか? 】

我が社では、勤務時間終了後、従業員が職場に残って、仕事に関連する通信教育を受けていますが、これは残業時間になるのでしょうか?

A 7-2

(1)基本となる考え方

通信教育に限らず広く「研修」と捉えた場合、次の通達が参考になります。

労働者が使用者の実施する教育に参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益取扱による出席の強制がなく自由参加のものであれば、時間外労働にはならない。』(昭26.1.20 基収2875号)


(2)基本となる対策

①従業員に、参加申込書を提出させる。(自由参加であることの裏付け)

②研修に欠席したことを人事考課上でマイナスとしない。

③職場での上下関係を持ち込まないために、役職ではなく「さん付け」で話す。

④研修の時間中に中座して仕事をしたり、終了後に仕事に戻らない。
(必須ではないが、無用の誤解を避けるため。)

⑤研修のお知らせ、開始時に「自主参加」であることを毎回、表記または説明する。

⑥教材は会社から支給せずに、実費を徴収する。または、外部講師が無償提供する。

⑦教材の作成は会社のなるべく会社のPC、プリンターを使わない。
 使用する場合でも、昼休みや就業時間外に使用する。
 または、外部講師が作成・配布する。

⑧外部講師への謝礼は会社が負担しない。


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Q 7-3 【 フレックスタイムを導入する時にはどのような点に注意すれば良いでしょうか? 】

 当社では従業員が柔軟に働けるようにフレックスタイム制の導入を検討しています。
 従業員が出勤できる時間帯(フレックスタイム)を7:00~21:00として、
 必ず出勤しなければならない時間帯(コアタイム)を10:00~14:00にしようと考えています。

 なお、対外的に会社の営業時間は9:00~18:00としています。
 導入に際して、注意すべき点はありますか?

A 7-3

 フレックスタイムにはメリットも多くありますが、ここではあえてデメリットをお伝えします。

 貴社の場合、コアタイムを10:00~14:00にするとの事ですので、同時間帯に在席すれば「何時に来て何時に帰っても良い制度」という事です。しかし、実際には少なくない人が「10時に出社しても良い制度」と思い、実際に10時に出社すると思われます。

 その結果、勤務する時間帯が全体的に遅くなります。コアタイムを設けない会社もありますが、その場合は猶更、時間帯が遅くなります。
(ちなみに本来のフレックスタイムはコアタイムを設けないものを指します。)

 また、貴社では9:00~18:00が営業時間帯との事ですが、前述のように少なくない人が10:00に出勤する可能性がありますが、その場合、
9時から10時にかかってくる電話や来訪者に誰が対応するのか?という事も問題となります。

フレックスタイムという制度の趣旨から考えると、電話や来訪者の対応のために
9:00に出勤する人を会社が指名する訳にはいきません。

フレックスタイムにはメリットも多いのですが、
導入に際してはこれらのデメリットも考えるべきでしょう。

 ここで事例を紹介します。伊藤忠商事では2012年にフレックスタイム制を廃止して、翌年から他社に先がけて「朝型勤務」を導入して注目を集めました。2020年7月23日の日本経済新聞のインタビューに同社の岡藤正広会長(当時)は次のように回答しています。
 

ここから引用

「 私の10年間で最も大事だったと思う改革はフレックスの廃止だ。コアタイム10~15時で1週間の就労時間を満たせば『あとは早く来ても遅く来てもいい』という制度 これがいつの間にか『10時にきたらいい』となっていた。人間というのは楽な方にいくものだ 」

 (中略)
「 お客様から電話があって、『うちは10時からです』とは何だと。
そしてそれを変えると言ったが、なかなか変えられなかった。まずは半年間、非組合員の偉いさんだけ早く来させた。そしたら半年で皆早く来だした。上が10時出社なら下は9時50分に来る。その人間の心理が分からないといけない。それから業績が上がった」

引用ここまで

 同社の業績が上がったのは、フレックスタイム制から朝型勤務に変えた事以外の要因も多々、あるとは思いますが考えさせる回答です。



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8 福利厚生

Q 8-1 【 再婚、再再婚した従業員にも結婚祝い金を支給した方が良いでしょうか?  】

 当社の社員は、5年前に結婚をしました。その時に就業規則の規定に基づいて、結婚祝金(50,000円)を支給しましたが、その2年後に離婚しました。そして昨日に再婚をした旨の社内届け出が提出されました。当社の就業規則で結婚祝い金の対象は、特に初婚のみに限定するとは記載していません。また、再婚・再再婚を対象とするとも明記はされていません。
 本人は結婚祝い金に言及はしていませんが、再婚の場合でも対象とするべきでしょうか?

A 8-1

 支給する必要はないと考えます。

元来、慶弔金(休暇)は「初婚」が前提です。(一種の暗黙の了解があります。)
そのため、貴社のように就業規則に「初婚者」に限るのか「再婚者」も対象とするのかまでは、定めていない事が多いです。

その結果、初婚だけが対象なのか?
再婚、あるいは再再婚はどうするか?という問題が発生します。

 かつては「初婚のみ」を対象とするケースが多数派でした。
しかし、時代が進むにつれて「再婚ならば可」が増え始め、
「再再婚も容認」というケースも登場してきました。

一方、「初婚に限る」とする会社も少なからずあり、就業規則にその旨を明記することもあります。

また、規定としては対象が初婚のみであるか、再婚も含むのかを明記せずに、
運用において再婚も対象にするケースもあります。
(再婚を対象にすると、再再婚を対象とするハードルは下がるでしょう)

 貴社においても、現時点で再婚者に対して支給する義務はありませんが、支給することも可能です。
その場合は、今後も再婚者に対して同様に支給する事が望ましいです。

 また、運用で対応するのではなく、初婚、再婚、再再婚のどこまでを祝い金の対象とするか明記すると誤解を生まないと考えます。

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Q 8-2【 入籍しないカップルにも結婚祝い金・結婚休暇を与えた方がよいでしょうか? また、事実婚と同棲では扱いが異なりますか? 】

 当社の社員で入籍をせず、パートナー(異性)と同居生活を始めた者がいます。この場合にも結婚祝い金と結婚休暇を与えるべきでしょうか?なお、当社の就業規則では「結婚」の定義を明確にはしていませんが、入籍することが従来からの慣習となっています。
また、パートナーとの同居生活が、事実婚なのか、同棲であるかの区別がつきにくいのですが、どのように判断するのが良いでしょうか?

A 8-2

 夫婦別姓などの理由で入籍せず、事実婚を選択するカップルも増えています。
 会社としては祝い金・休暇を与えたい場合でも、事実婚と同棲の区別がつかずに対応に苦慮することもあります。 


結婚祝い金や結婚休暇の対象とする「結婚」には次のものが考えらえます。


 1 入籍する。
 2 事実婚(住民票に表記あり)
 3 同棲(異性パートナー)
 4 同棲(同性パートナー)


これらのうち、どこまでを「結婚」として祝い金・休暇の対象とするかは会社の判断であり、就業規則での定めによります。
従来は、1の入籍した場合を対象としていました。また、現在もこれが主流と考えます。

ここに、2の事実婚を認めるか否かの判断になるのではないでしょうか。

まず、「事実婚」と「同棲」はそれぞれ、本人の届け出により、
住民票では次のように表示できます。

事実婚・・・「妻(未届)」 「夫(未届)」
同棲 ・・・「同居人」


事実婚も祝い金・休暇の対象とするならば、住民票の提出を求め、「妻(未届)」「夫(未届)」と記載されていることを確認してください。
事実婚も対象にするケースは年々、増えています。

一方、「同棲」(住民票での表示は「同居人」)を対象にするケースは
ほとんど見聞きしませんが、今後は次の質問にある「同性パートナー」に関連して、増えていくかも知れません。


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Q 8-3【 同性パートナーにも結婚祝い金・結婚休暇を与えた方がよいでしょうか? 】

A 8-3

 まだ実際に申請があった訳ではないのですが、近い将来、同性パートナー(異性)と一緒に暮らす従業員も出てくると思います。この場合、結婚祝い金や結婚休暇を与えるべきでしょうか?

 同性パートナーについてのご相談は、現時点(2021年10月)ではQ8-1、Q8-2に比べて少ないのですが、今後は緩やかにですが増えていくものと予想しています。

2015年の渋谷区と世田谷区を端緒に、現在は全国で100を超える自治体が
同性パートナーに対しての証明書を発行しています。

しかし、自治体による証明書の提出を祝い金・休暇の条件とする事は、
住んでいる所が証明書を発行する自治体であるか否かによって取り扱いが異なることになり、望ましくないでしょう。

同性パートナーに祝い金・休暇を与えるために、何らかの公的な証明書を求めるならば、
前述のように同居が確認できる住民票の提出が考えられます。(証明書が発行される自治体であればその証明書)

また、同性パートナーの問題に限らず、LGBTQについての会社対応も
考えていく必要があります。


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9 安全衛生・労災予防

Q 9-1 【 50歳以上労働者の労災事故が増えているようですが、予防する方法はありませんか? 】

A 9-1

 当社は複数のコンビニエンスストアを経営しています。最近は、外国人留学生や60歳以上の高齢者を雇用するケースが増えてきました。過去に床で滑っての転倒事故や、重い商品を持ち上げて腰を痛める、などの労災事故が起きてきました。50歳以上の労働者の労災事故が多い、という事を聞いたのですが、労災が発生しないような有効な予防策はないでしょうか?


☆☆☆☆ 50歳以上労働者の労災の実態 ☆☆☆☆

ご質問にある通り、50歳以上の労災発生率は高くなっています。年々、職場の平均年齢が高くなっていくなか
50歳以上の労働者は「労災の3重苦」があります。
つまり、①労災発生率が高い ②重症化しやすい。 
③休業期間が長い という3点です。

休業4日以上の労災発生件数を見ると全年齢のうち、
50歳以上が被災したケースが50%近くを占めており、
この率は年々、高くなっています。50歳以上の労働者の数が多いのでは?という疑問も生じますが、そうではありません。労働者数では全体の約33%です。

また「年千人率」(労働者1,000人あたり1年間に発生する死傷者数)は
全年齢で2.2のところ、年齢階層によって次のように分布しています。


 ~19歳 3.1

20~29歳 1.6

30~39歳 1.6

40~49歳 1.9

50~59歳 2.6

60歳~  3.7


50歳以降が大きく増えている事が分かります。
また、1ヶ月以上の休業も50歳未満では7%、50・60歳代では9%と、休業見込み期間も長くなっています。


☆☆☆☆ まずは、本人に自分の体力低下を自覚してもらう ☆☆☆☆


まずはご本人の自覚が重要です。
50歳以上の方には、ご本人が自分で思っている以上に「体が動かない」という現実をきちんと受け止めて頂く
ことも大切です。(できれば同世代の総務担当者が伝えると、説得力が増します。)

「健康体力測定」「労働体力測定」などを提供
している会社や団体があります。中には会社に出張して測定してくれる事業者もあります。
体力測定には費用が生じますが
体力測定の結果、ご本人の自覚を促して労災事故を防げるならば、休業などの労働損失を防げます。

 あわせて50歳以上の方は「自分だけは大丈夫」という、根拠のない思い込みを捨てることも必要です。その思い込みを防ぐためにも、体力測定で数値を示すことは効果的です。


☆☆☆☆ エイジフレンドリー職場 ☆☆☆☆

中央労働災害防止協会では「エイジフレンドリー職場」として、
高年齢労働者の安全と健康確保の取り組みを企業に進めています。https://www.jisha.or.jp/age-friendly/ageaction100.html


取り組みの1つである「エイジアクション100」では、100項目のチェックリストが掲載されています。
主に製造業・小売業・介護業・建設業・運輸業などを意識していますが、その中から全業種に共通な項目をお伝えします。↓
https://www.jisha.or.jp/age-friendly/pdf/ageaction100.pdf



☆☆☆☆ 50歳以上の従業員の労災を予防するための具体的な施策
 ☆☆☆☆


【 オフィスの就業環境 】

1 通路の十分な幅を確保し、整理・整頓により通路、階段、出入口には
物を放置せず、足元の電気配線やケーブルはまとめている。

2 階段・通路の移動が安全にできるように十分な明るさ(照度)
を確保している。

3 手元や文字が見やすくなるように、職場の明るさを確保している。

4 階段には手すりを設けるほか、通路の段差を解消し、滑りやすい箇所には
すべり止めを設ける等の設備改善を行っている。

5 通路や携帯電話を見ながらの「ながら歩き」、ポケットに手を入れた
「ポケットハンド」での歩行や「廊下を走ること」は禁止している。



【 社有車の運転 】

6 長時間走行、深夜・早朝時間帯や悪天候時の走行を避け、走行計画は
十分な休憩時間・仮眠時間を確保した余裕あるものにしている。

7 疲労、飲酒、睡眠不足等で安全な運転ができないおそれがないか
について、運転開始前に、問いかけやアルコールチェッカー等により
  確認している。

8 睡眠不足、飲酒や薬剤等による運転への影響のほか、長年の「慣れ」等
によって、安全確認や運転操作がおろそかにならないように、
  交通安全教育を行っている。

9 急な天候の悪化や異常気象の場合には、安全の確保のための走行中止、
徐行運転や一時待機等の必要な指示を行っている。


【 熱中症予防 】

10 天気予報や熱中症予報で把握した熱中症発生の危険度に応じて、
作業の中止、作業時間の短縮等ができるように、余裕を持った
   作業計画を立てている。

11 自覚症状の有無に関わらず、定期的に水分・塩分を摂取させている。

12 作業開始前に、睡眠不足や体調不良の有無等の問いかけを行って、
健康状態を確認している。


【 健康管理 】

13 病気であったり、体調が不良であったりする高年齢労働者も見られること等を踏まえて、きめ細かな健康管理を行っている。

14 法令に基づく健康診断の対象外となる場合もある定年退職後に
再雇用された短時間勤務者や隔日勤務者等についても、
   健康診断を実施している。

15 健康診断結果に所見がある場合には、医師等の意見を勘案して、
就業上の措置(作業時間の短縮、作業内容の変更等)を
   確実に行っている。

16 所見のある健康診断結果を踏まえて、医師等から意見を
聴取する際には、医師等が判断を行うに当たって必要となる本人の就業状況に
   関する情報(作業時間、作業内容等)を
適確に提供している。

17 健康診断において生活習慣病が把握された場合には、
保健指導による進行の抑制に加えて、精密検査や医療機関への受診を勧奨している。

18 高年齢労働者や管理監督者に対して、メンタルヘルスケアについての
研修や情報提供を行っている。



【 就業条件 】

19 定年退職・再雇用後は、希望すれば、働きやすい柔軟な勤務制度・休暇制度を利用できるようにしている。

20 高年齢労働者の健康状態、身体・精神機能の状態等を踏まえて、
安全や健康の確保に支障がないように職務配置を行っている。

 

 ※ 上記の他にも「エイジアクション100」はまだ残り80のチェック項目があります。よろしければご確認ください。




人事・労務相談 毎月33,000円(消費税込)~

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10 有期雇用・短時間労働者の管理(パート・アルバイト・契約社員等

Q 10-1 【 有期雇用契約の労働者の無期転換について、同一グループのうち、異なる法人での勤務期間は通算されますか? 】

私は、出版関連の業務を行っている会社でパートタイマーとして働いています。この会社は出版社を中心として関連会社数社からなるグループとなっています。企業間の異動は頻繁に行われています。私も関連会社の1社で4年間の勤務をしていますが、来月から中核の出版社への異動が決まりました。有期雇用契約労働者の無期雇用転換は期間契約が5年を超えた場合に申し出ができるとの事ですが、私の様に同一グループであっても別の会社に異動する場合は期間を通算できるのでしょうか?

A 10-1

 ご質問のケースでは異なる会社の雇用契約の期間は通算されません。
一方、同じ法人内での異動は通算されます。

 いわゆる「無期雇用転換」は労働契約法第18条に定められていますが、その第1項では「同一の使用者」との間で契約期間が通算されるとしています。
 そして、この「同一の使用者」は行政解釈で「事業場単位ではなく、法人であれば法人単位で、個人事業主であれば当該個人事業主単位で判断される」としています。

 厚生労働省のQ&Aでも取り上げられています。↓ Q6をご参照ください
 https://muki.mhlw.go.jp/overview/qa.pdf


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20 その他

11 各種ハラスメント(パワハラ・セクハラ・マタハラ)への対応

Q 11-1 【 2022年4月から中小企業にもパワハラ防止が義務付けられますが、具体的にはどのような対策をすれば良いでしょうか? 】

2022年4月からパワハラ防止法が中小企業にも適用されます。当社でもハラスメントと疑われる行為があり、何らかの対策をとる必要性を感じていました。どのような対策をとるのが効果的でしょうか?

A 11-1

パワハラ防止法が2022年4月から中小企業にも適用されます。

正確には「労働施策総合推進法」(より正確には「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」)という法律です。

同法の第9章「職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して事業主の講ずべき措置等」にある第30条の2から第30条の8までが根拠となります。
 
そして取るべき対策の詳細は通称「パワハラ指針」(事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ず
べき措置等についての指針)にありますので、
以下に要点を抜粋します。

なお、大企業には2020年6月から適用されていましたので、
世間ではハラスメントに向ける目がすでに厳しくなっていますのでご注意ください。

【 企業として行うべきこと 】

1 パワハラを防止する明確な方針を立て、メッセージとして発信する。

2 社内または社外に、相談窓口を設ける。

3 パワハラ相談や、発生した時には適切、迅速に対応する。


例えば、社長からのメッセージ発信、ハラスメント防止セミナーの実施、パワハラ防止マニュアルの整備 等々があります。

また、パワハラ防止指針では上記の他、次も挙げています。(義務ではありません。)


・性的指向・性自認への配慮(LGBTQ)

・取引先へのハラスメントの予防

・顧客からのハラスメント(カスタマーハラスメント)の予防


特にLGBTQ(より概念を広げてSOGI)への対応の必要性が、年を追うごとに大企業から中小企業へと進んでくるでしょう。

なお、パワハラのみならずハラスメント全体の対策セミナーなどは、一回行って終わりにするのではなく、短時間でも良いので繰り返して行うことが望ましいです。
(当所でもハラスメント対策のアドバイスをしておりますので、お気軽にお問い合わせください。)


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Q 20-1 【 在職中の厚生年金と雇用継続給付は調整されることなく支給されるのでしょうか? 】

当社では、厚生年金の受給資格を得た61歳を超える従業員には、雇用条件を見直しすることにしています。
雇用条件にはいくつかのパターンがあり、その一つに週30時間未満の就業時間で、厚生年金には加入しない、というものがあります。
このパターンを選んだ場合、厚生年金が全額支給されることになります。

さて、この従業員が、雇用保険から支給される「高年齢雇用継続給付」を受給することによって厚生年金の一部が支給停止されることがあるのでしょうか?

A 20-1

ご質問にある「特別支給の老齢厚生年金」と雇用保険からもらえる

「高年齢雇用継続給付」は、貴社の従業員が厚生年金の被保険者でなければ、併給調整されません。なお、特別支給の老齢厚生年金と、失業給付(基本手当)は併給調整されます。


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Q 20-2 【 従業員どうしのトラブルはどのように予防すれば良いでしょうか? 】

当社は、企業から各種データの入力を請け負っており、会社の近隣に住んでいる主婦にパートタイマーとして働いてもらっています。

しかし、パートタイマーが30人以上もいると、人間関係のトラブルも発生します。先日も、パートタイマーどうしの衝突があり、当事者の片方はしばらくして退職してしまいました。

トラブルがあると社内の雰囲気が悪くなりますし、何よりもそのような理由で、貴重な人材を退職に追い込むのは、会社として不本意です。
どのような対策があるでしょうか?

A 20-2

近隣に住むパートタイマーどうしのトラブルは、社内にとどまらず、地域社会での隣人関係をも悪化させる、というリスクがあります。

(家が近所、子供の学校が同じ、等々だとなおさらでしょう。)

トラブルを未然に防ぐ、あるいは、芽の小さいうちに摘み取るには、次の様な手法が考えられます。


・社員などが日常のコミュニケーションですくい上げる。

・会社(総務部)に相談を受け付ける機能を持たせる、あるいは会社(総務)からヒアリングする。

・外部の第三者(顧問社会保険労務士など)が定期的にヒアリングする。


基本的に、「相談を受け付ける」という待ちの姿勢ですと、従業員からすればなかなか相談に行きづらいものです。従って「ヒアリング」を定期的に行うという方法が有効ではないでしょうか。

定期的にパート全員からヒアリング(面談)することで、トラブルの予防のみならず、情報交換することにもつながり、仕事の問題や課題、本人の希望や不満に思っていることなどを話せる良い機会になるのではないでしょうか。その結果、貴重な人材に長く働いてもらえることにもなるでしょう。

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Q 20-3 【 自転車通勤を導入するのですが、どのような点に注意すれば良いでしょうか? 】

当社では、従業員の自転車通勤を認めようと考えています。社会的には環境負荷を軽くできること、従業員の健康維持・増進に役立つこと、会社のイメージアップにつながること、などのメリットがある事が導入の理由です。
 一方、歩行者(特に近隣の小学生)との接触事故、駐輪場の確保などのデメリットがある事も認識していますが、その他に注意すべき点があれば教えてください。

A 20-3


△□○△□○ 自転車通勤を開始する前に決めること △□○△□○

自転車通勤をスタートさせる前に次の各事項を決める必要があります。

1 自転車以外に雨天時や疲労時には電車・バス通勤も認めるか?
 基本的には自転車以外の交通手段による通勤も認めるべきでしょう。荒天時や疲れている時の自転車通勤は、転倒、自動車・歩行者との接触などの事故が起こりかねません。

2 自転車通勤を認める会社と通勤距離をどの程度にするか?
 目安としては2km以上5km未満程度でしょうか。5km以上になると毎日の通勤としては負担が大きいと思います。

3 事故の予防策、万が一の事故発生時にはどのように対処するか?
 自動車事故と同じく、まずは被害者の手当、状況によって救急車を呼ぶ、そして、会社に一報を入れる。その後、出社して指定書式によって事故報告をする、ということが必要です。

4 駐輪場をどのように(会社内または近隣)確保するか?
 製造業などで社有地に余裕があれば駐輪場の設置も可能でしょう。しかし、それ以外の場合は、入居しているビルや、近隣にある駐輪場を月次契約して従業員に提供することが望ましいでしょう。駐輪場でなくても、駐車場の1区画に何台かの自転車を駐輪できるようにする、という方法もあります。駐輪場が確保されなければ、自転車通勤は認めるべきではありません。


5 駐輪場料金や通勤手当を支給するか?

 電車やバスの交通費と同様に会社に支払い義務はありませんが、

自転車の維持や保険料などもありますので、駐輪場の料金は会社で負担、

通勤距離が2km以上であれば非課税額の範囲内(4,200円以内)で

手当を支払っても良いでしょう。



△□○△□○ 日常の管理で行うべきこと △□○△□○


1 「自転車損害賠償責任保険」等の保険証コピーを提出させる。

 自転車でも歩行者に衝突すると重大事故になる場合があります。

 相手が死亡したり障害が残ったりするケースでは損害賠償額も

 5,000万円~1億円程度の高額になることもあります。

 保険は1億円以上の損害賠償を補償できるものが望ましいです。

 また、保険が満期になるごとに新証券のコピーの提出も大切です。


2 通勤時はヘルメット着用を義務付ける。

 自転車に乗っていて事故で死亡する人の損傷部位は頭部が約6割、

 また、ヘルメット着用により致死率が5分の2に抑えられるそうです。

 一昔前と違って、デザイン性の高いヘルメットも多いですので、

 抵抗なく着用できるのではないでしょうか。


3 1年に1回は、会社が安全利用のための指導を行う。

  自転車通勤に限らず、ハラスメント・SNS利用・社有車運転などは、

  1年以内に1回程度の研修・指導で事故や不祥事を防ぐべきです。

  「知っている」と「知らない」では結果に大きな違いが生じます。

  また、会社に空気入れや工具を用意して、自主的な自転車の

  点検、整備を行うことを促すことも良いでしょう。


4 可能であれば更衣室を提供する。

  すでに制服に着替える会社なら問題ありませんが、制服がない

  会社の場合、自転車通勤に適した服装からスーツなどの仕事着に

  着替えるための更衣室も必要でしょう。

  自転車通勤に適した服装ですと事故の予防にもなります。



△□○ 労災は適用されるか? △□○


自転車通勤での事故も通勤災害の対象となります。

ただし、寄り道をした時は適用されません。


また、会社へ報告している通勤方法は電車であっても、

自転車を本来の用法に従って、合理的な経路で通勤した場合には、

通勤災害が適用されます。


Q 20-4 【 勤務時間外の勉強会に向かう途中での事故は労災になるのでしょうか? 】

当社は、フランチャイズのファストフードを4店舗、運営しています。
1か月に1回、本社の会議室を使って開かれる自由参加の勉強会を開いていますが、先日、ある従業員が店舗での勤務後、本社へ移動して勉強会へ参加しました。その帰り道に雨が降っていたこともあり、事故にあってしまいました。この場合は、通勤災害になるのでしょうか?

A 20-4

(1)基本となる考え方

通勤災害となるには、移動が「就業に関し」行われたことが必要です。
(労災法第7条第2項)なお、「就業に関し」、次の行政解釈があります。


『移動行為が業務に就くため又は業務を終えたことにより行われるものであることを必要する趣旨を示すものである。つまり、通勤と認められるには、移動行為が業務と密接な関連をもって行われることを要する事を示す』

より具体的には次の通達があります。

『業務の終了後、事業場施設内で、囲碁、麻雀、サークル活動、労働組合の会合に出席をした後に帰宅するような場合には、社会通念上就業と帰宅との直接的関連を失わせると認められるほど長時間となるような場合を除き、就業との関連性を認めてもさしつかえない。』(昭48.11.21 基発644

『業務終了後、事業場施設内で労働組合の用務を1時間25行った後の退勤(中略)は、就業との関連性を失わせると認められるほど長時間とはいえない』(昭49.3.4基収317

『業務終了後、事業場施設内でサークル活動を2時間50行った後の退勤(中略)は、就業との関連性を失わせると認められるほどの長時間といえる』(昭49.9.26基収2023

また、通勤災害の要件として、「住居と就業の場所との間の往復」があり、「就業の場所」とは、『業務を開始し、又は終了する場所をいう。』と解釈されます。

(2)基本となる対策

本ケースで通勤災害を適用したいなら…

①自由参加の勉強会を行うならば「各店舗で」「2時間以内を目安に」行う。

②研修を強制参加として、「業務」にする。

しかしながら、労災(通災)認定は、労働基準監督署長がするものであり、これらの対策を取っていても、実態を勘案して労災認定されない可能性もありますので、あくまでもご参考として、ご理解ください。

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