Q1.体調不良である社員の解雇について
Q2.飲食店従業員のノロウイルス罹患による出勤停止
Q3.入社時に健康状態を偽って採用された社員
Q4.在職中の厚生年金と雇用継続給付の関係
Q5.半日有休の取り扱いについて
Q6.2日間にわたる勤務をすると、代休も2日もらえるか?
Q7.出向者の勤怠管理について
Q8.従業員どうしのトラブル予防について
Q9.勤務時間外の通信教育受講について
Q10.勤務時間外の勉強会に向かう途中での事故について
Q11.パートタイマーを早く帰した場合の給料
Q12.パートタイマーの勤務時間が増えた時などの有給休暇について
Q13.当社は自由な雰囲気を大切にしたいのですが、就業規則は必要ですか?
Q.14.パートタイマーやアルバイトの有給休暇について
Q.15.健康診断を受診したくない従業員にどう対応するか?
Q.16. 欠勤が多い場合の休業手当を支払う場合の平均賃金
Q.17. 半日単位の年次有給休暇の取得日数に上限はあるか?
Q18. 育児休業期間中の従業員に年次有給休暇は付与されるのでしょうか?
Q19. 残業代は1分単位で支払わなければいけないのでしょうか?
Q20. 遅刻や早退も1分単位で支払わなければいけないのでしょうか?
Q21.管理職にも年次有給休暇の5日付与義務はあるのでしょうか?
当社に体調不良を理由に、最近1年間において、月に5~6回、遅刻または欠勤している社員がいます。
勤怠が不安定なため、仕事を任せにくいことがある上、上司の指示通りに仕事をしないこともあります。会社としては、勤怠の改善をするように本人に注意しているのですが、多少の改善が見られたかと思うと、元に戻るような状況で、職場では困っています。
当社の就業規則では「勤怠不良」が解雇理事由にありますが、どの程度の勤怠不良であれば解雇ができるのか、また解雇が出来るとして、注意すべき点などはありますか。
遅刻・欠勤が多い場合に、どの程度で「解雇」できるか、という数値基準はありません。
考え方としては、どの程度、業務に支障をきたしているか否か、が一つの判断基準になるでしょう。
しかし、今回のケースで解雇に踏み切るのは、少々、難しいのではないかと考えます。
すでに、注意しているとの事ですが、解雇をご検討する前に、本人が勤務態度を改め、雇用継続となるよう、引き続き、再三の注意を促していくことがまずは、会社としてするべき事でしょう。
その際には、人事担当者が立ち会う、強めに注意指導する、など今までとは意識的に接し方を変えることにより、本人に自覚を促すことができると思われます。
また、改善するまでの期限を設定することにより、本人に改善への意識を高めてもらうこともできるでしょう。
しかし、その期限までに一定の改善がなされない時は、残念ながら、次の対応を検討せざるを得ないと考えます。
レストランを運営する当社では、ノロウイルスに感染した従業員には、欠勤を命じ、その間の給与は「ノーワーク・ノーペイ」で無給としています。
業種の性質上、従業員はもちろん、お客様にも感染させてしまうリスクがある以上は、出勤させる訳にはいかないのですが、最近ある従業員から、この対応には法的な問題があると指摘されました。どこに問題があるのでしょうか?
労働安全衛生法には、次の条文があります。
事業者は、伝染症の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかった労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。
当社は、通年で中途採用をしています。先日、面接時に「健康状態は良好」と回答しながら、入社後2週間で、うつ病を理由に休職を申し出てきた従業員がいます。話を聞くと、前職でも同じ理由で数ヶ月間、休職していたようです。
当社としては、面接時に健康状態について虚偽の回答をしたことを問題視していますが、何らかの処置はできるのでしょうか?
最近は、メンタル不全によって休職・復職を繰り返す従業員の対応に苦慮するケースが増えてきました。
さて、面接では「健康良好」と答えながら、何らかの病気を発症して、業務に支障が出る場合などは、面接時における「真実告知義務違反」として、採用を取り消せる場合もあります。
懲戒解雇は有効となる。
当社では、厚生年金の受給資格を得た61歳を超える従業員には、雇用条件を見直しすることにしています。
雇用条件にはいくつかのパターンがあり、その一つに週30時間未満の就業時間で、厚生年金には加入しない、というものがあります。
このパターンを選んだ場合、厚生年金が全額支給されることになります。
さて、この従業員が、雇用保険から支給される「高年齢雇用継続給付」を受給することによって厚生年金の一部が支給停止されることがあるのでしょうか?
ご質問にある「特別支給の老齢厚生年金」と雇用保険からもらえる
「高年齢雇用継続給付」は、貴社の従業員が厚生年金の被保険者でなければ、併給調整されません。 なお、特別支給の老齢厚生年金と、失業給付(基本手当)は併給調整されます。
当社の勤務時間は、午前8時30分から午後5時30分であり、昼休みは12時から午後1時までです。
つまり、昼休みをはさんで、午前勤務は3時間30分、午後勤務は4時間30分の合計8時間となります。
今般、当社では「半日有休」の導入を検討しています。給与は、午前・午後のいずれかに有休を取得しても、4時間分を支給する予定です。
この取り扱いに問題があるでしょうか?
ご質問の運用をまとめると次のようになります。
【午前出勤(午後休み】 3.5時間の勤務(4時間分の給与)
【午後出勤(午前休み】 4.5時間の勤務(4時間分の給与)
これには、2つの問題が発生します。
1 午後出勤(午前休み)の場合、4.5時間を働いているのに、
給与が4時間分しか支払われません。
これは、労働基準法の「賃金支払の5原則」のうち、
給与全額払いの原則に抵触します。
2 午前と午後で勤務時間に差が出るので、社員に不公平感が出ます。
(または、皆が午前出勤(午後休み)を選択しかねない。)
解決策としては次の様なものが考えられます。
1 午前出勤(午後休み)は8:30-12:30 の4時間勤務にする。
午後出勤(午前休み)は13:30-17:30 の4時間勤務にする。
2 午前出勤(午後休み)は8:30-12:00の3.5時間勤務
午後出勤(午前休み)も14:00-17:30の3.5時間勤務
なお、この場合、給与は3.5時間分ではなく、4時間分とするのが望ましい でしょう。なぜなら、「半日有休」の制度は、給与も半日分が支給される と、解釈される可能性があるからです。
3 午前3.5時間勤務 午後4.5時間勤務とするが、
給与もそれぞれ、3.5時間と4.5時間分とする。
この場合、正しくは「半休」にはなりません。
また、有休の残日数管理も面倒になりますので、
「半日有休」よりも時間単位の有給休暇とする方が、
運用もしやすいのではないかと考えます。
当社はシステム開発を行っていますが、納期間近になると従業員の中には、徹夜勤務する者も出てまいります。
先日も、ある従業員が土曜日の夕方、午後5時に出社し、翌日の日曜日、午前9時に退社しました。
(実際の勤務時間は、休憩1時間を除いて16時間でした。)
その後、この従業員から2日分の代休申請がありました。本人は、土日それぞれ約8時間ずつ勤務しているので、代休は2日とれる、という認識です。
本人の申し出通りに対応しなければいけないのでしょうか?
結論から申し上げますと、代休は『1日』です。
根拠となる通達があります。(昭和28.3.20 基発136)
「 その労働が継続して翌日まで及んだ場合には、の所定労働時間の始業時 刻までの分は、前日の超過勤務時間として取り扱われる。 」
つまり、日曜日まで仕事が続き、そのまま始業時刻を過ぎたならば、「2日間」となりますが、今回は始業時刻を超えていませんので、前日からの残業扱いとなります。
従って、代休は1日で良い事になります。
当社は、家庭用品を品揃えの中心とした、ディスカウント店を複数運営しており、取引企業などからの出向者を何名か受け入れております。基本的なことになりますが、出向者の勤怠管理の原則を教えてください。
遅刻・早退・欠勤をはじめ、有給休暇の取得、休業などの「勤怠管理」は貴社で行います。この場合、基本的には貴社の社員と同様の管理方法でよろしいかと存じます。
その上で、出向元から、管理方法についての個別依頼があれば、都度、協議の上、運用をすれば良いと考えます。
出向中の労働関係については、一般的には次のように考えられています。
『出向労働者は出向企業に対しその指揮命令のもとで労務提供を行うので、
出向企業の勤務管理や服務規律に服することとなる。 』
(労働法 第12版 739頁 菅野和夫)
当社は、企業から各種データの入力を請け負っており、会社の近隣に住んでいる主婦にパートタイマーとして働いてもらっています。
しかし、パートタイマーが30人以上もいると、人間関係のトラブルも発生します。先日も、パートタイマーどうしの衝突があり、当事者の片方はしばらくして退職してしまいました。
トラブルがあると社内の雰囲気が悪くなりますし、何よりもそのような理由で、貴重な人材を退職に追い込むのは、会社として不本意です。
どのような対策があるでしょうか?
近隣に住むパートタイマーどうしのトラブルは、社内にとどまらず、地域社会での隣人関係をも悪化させる、というリスクがあります。
(家が近所、子供の学校が同じ、等々だとなおさらでしょう。)
トラブルを未然に防ぐ、あるいは、芽の小さいうちに摘み取るには、次の様な手法が考えられます。
・会社(総務部)に相談を受け付ける機能を持たせる、
あるいは会社(総務)からヒアリングする。
・外部の第三者(顧問社会保険労務士など)が定期的にヒアリングする。
基本的に、「相談を受け付ける」という待ちの姿勢ですと、従業員からすればなかなか相談に行きづらいものです。従って「ヒアリング」を定期的に行うという方法が有効ではないでしょうか。
定期的にパート全員からヒアリング(面談)することで、トラブルの予防のみならず、情報交換することにもつながり、仕事の問題や課題、本人の希望や不満に思っていることなどを話せる良い機会になるのではないでしょうか。その結果、貴重な人材に長く働いてもらえることにもなるでしょう。
我が社では、勤務時間終了後、従業員が職場に残って、仕事に関連する通信教育を受けていますが、これは残業時間になるのでしょうか?
(1)基本となる考え方
通信教育に限らず広く「研修」と捉えた場合、次の通達が参考になります。
①従業員に、参加申込書を提出させる。(自由参加であることの裏付け)
②研修に欠席したことを人事考課上でマイナスとしない。
③職場での上下関係を持ち込まないために、役職ではなく「さん付け」で 話す。
④研修の時間中に中座して仕事をしたり、終了後に仕事に戻らない。
(必須ではないが、無用の誤解を避けるため。)
⑤研修のお知らせ、開始時に「自主参加」であることを毎回、表記または
説明する。
⑥教材は会社から支給せずに、実費を徴収する。または、外部講師が
無償提供する。
⑦教材の作成は会社のなるべく会社のPC、プリンターを使わない。
使用する場合でも、昼休みや就業時間外に使用する。
または、外部講師が作成・配布する。
⑧外部講師への謝礼は会社が負担しない。
当社は、フランチャイズのファストフードを4店舗、運営しています。
1ヶ月に1回、本社の会議室を使って開かれる自由参加の勉強会を開いていますが、先日、ある従業員が店舗での勤務後、本社へ移動して勉強会へ参加しました。その帰り道に雨が降っていたこともあり、事故にあってしまいました。この場合は、通勤災害になるのでしょうか?
(1)基本となる考え方
通勤災害となるには、移動が「就業に関し」行われたことが必要です。
(労災法第7条第2項)なお、「就業に関し」、次の行政解釈があります。
『移動行為が業務に就くため又は業務を終えたことにより行われるものであることを必要する趣旨を示すものである。つまり、通勤と認められるには、移動行為が業務と密接な関連をもって行われることを要する事を示す』
より具体的には次の通達があります。
『業務の終了後、事業場施設内で、囲碁、麻雀、サークル活動、労働組合の会合に出席をした後に帰宅するような場合には、社会通念上就業と帰宅との直接的関連を失わせると認められるほど長時間となるような場合を除き、就業との関連性を認めてもさしつかえない。』(昭48.11.21 基発644)
『業務終了後、事業場施設内で労働組合の用務を約1時間25分行った後の退勤(中略)は、就業との関連性を失わせると認められるほど長時間とはいえない』(昭49.3.4基収317)
『業務終了後、事業場施設内でサークル活動を2時間50分行った後の退勤(中略)は、就業との関連性を失わせると認められるほどの長時間といえる』(昭49.9.26基収2023)
また、通勤災害の要件として、「住居と就業の場所との間の往復」があり、「就業の場所」とは、『業務を開始し、又は終了する場所をいう。』と解釈されます。
(2)基本となる対策
本ケースで通勤災害を適用したいなら…
①自由参加の勉強会を行うならば「各店舗で」「2時間以内を目安に」行う。
②研修を強制参加として、「業務」にする。
しかしながら、労災(通災)認定は、労働基準監督署長がするものであり、これらの対策を取っていても、実態を勘案して労災認定されない可能性もありますので、あくまでもご参考として、ご理解ください。
当社では時給制のパートタイマーを雇用しています。先日、そのうちの数人について、雇用契約で定めた終業時刻より早く業務が終わりました。(7時間勤務のところ、5時間で勤務終了)
このような場合、時給制なので、仕事をした時間に対してだけ、給料を支払えば良いのでしょうか?あるいは、本来の終業時刻までの給与を支払うべきなのでしょうか?
原則は、雇用契約で取り決めた時間を働いてもらい、その労働時間に対して、賃金の全額を支払うことです。(労働基準法第24条(賃金の支払い)
しかし、ご質問のように雇用契約書で定めた終業時刻より早く仕事が終わった場合、賃金の支払いについては、次の2通りが考えられます。
(1)本人の同意がある場合
貴社からの支払いは必要なくなります。しかし、労働基準法は強行法規ですので、後日に、本人がこの同意を翻意した場合には、改めて貴社には、未払い分を支払う必要が生じます。
労働基準法 第26条(休業手当)が適用されます。
なお、1日のうち、一部の休業であれば、下記の通達にあるように、早く帰ってもらっても、実際に働いた時間だけの支払いで良いことになります。
なされた場合にも、その日について平均賃金の60/100に相当する金額
を支払わなければならないから、現実に就労した時間に対して支払われ
る賃金が平均賃金の60/100に相当する金額に満たない場合には、その
差額を支払わなければならない。』
(昭27.8.7 基収3445)
わりにさせた場合は、4,000円の給与が支払われます。他方、平均賃金は 8,000円の6割で4,800円ですから、4,800円に不足する800円を休業手当
として支払う必要があります。厳密に言えば、平均賃金は総支給額を暦日
で割るので、これよりも少ない金額になりますが、ここでは4,800円と考
えます。)
同様の契約で、5時間で仕事を終わりにさせると給与は5,000円です。これは平均賃金を上回っているので、休業手当の支払いは必要ありません。
パートタイマーの有給休暇は比例付与となりますが、付与した後に、1週間あたりの勤務日数が増減する、1日の勤務時間が増減する、という事もあるのですが、この時はどのように有給休暇を付与すれば良いでしょうか?
次のようなケースが考えられます。
ケース1
【 パートが週1日勤務から週3日勤務になった時 】
週1日勤務の場合、1日の有給休暇が付与されますが、この人が、週3日勤務になっても、その時点では有給休暇日数は増えません。
週3日勤務になってから到来した付与日において、その勤続期間に応じた有給休暇が付与されます。
(通達 昭和63.3.14 基発150による)
ケース2
【 パートの労働時間が増えたとき 】
例えば、1日4時間を働くパートが、有給休暇を取得した場合は、時給×4時間分の給与を支払う必要があります。
そして、この人が1日6時間働くようになった場合は、有給休暇の取得日における所定労働時間に応じた給与、
つまり、時給×6時間分の給与を支払う必要があります。もちろん、これは労働時間が減った場合も同様です。
(通達 平成11基発168号による)
当社は、デザイン業務をメインとする会社のため、社員の創造性を尊重しています。労働基準法などをベースにした就業規則は「古い」「固い」というイメージがあります。最近、社員が10名を超えたのですが、やはり就業規則を作らなければいけませんか?
法的な義務があることはもちろんですが、自由でクリエイティブな雰囲気な会社でも、一定の規律と、企業人としての責任は求められるものと考えます。
自由があれば責任もあります。
必要最小限のルール(就業規則)は定め、柔軟に運用する事をお奨めします。
当社は社員のほか、パートタイマー(主に女性)とアルバイト(主に大学生)を雇用しています。
社員は1日8時間×週5日勤務で、1週間の労働時間は40時間です。
パートタイマーやアルバイトの多くは、1日は4~7時間、週2~4日の勤務なので年次有給休暇は比例付与としています。
しかし、中には1日8時間×週4日で、1週間に32時間勤務するパートタイマーがいます。本人は比例付与ではなく、通常の有給休暇日数をもらいたい、と言っているのですが、その必要はあるのでしょうか?
年次有給休暇の比例付与は、労働基準法 第39条(年次有給休暇) 第3項に、次のように定められています。その上で、具体的な日数は労働基準法施行規則第24条の3(所定労働日数が少ない労働者に対する年次有給休暇の比例付与)に定められています。
『 次に掲げる労働者(1週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上のものを除く。)の有給休暇の日数については、比例付与とする。
・勤務日数が1週間に週4日以下の労働者
・勤務日数が1年間に216日以下の労働者 』
ここでのポイントは括弧内の「1週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上のものを除く。」という部分です。
この部分の「定める時間以上」は「30時間以上」となります。
この事は、前述の労働基準法施行規則第24条の3に定められています。
勤務が週30時間以上の労働者は年次有給休暇の比例付与の対象から除く、
つまり、通常の年次有給休暇を付与する、という事になります。
従って、ご質問にある週32時間勤務のパートタイマーについては、ご本人の申し出通り、通常の年次有給休暇を付与する必要があります。
当社の従業員で、定期健康診断の受診を指示しても、「健康診断の結果はプライバシーに属することだから受けたくない」と主張して、受診しない者がいます。会社としてどう対応すれば良いでしょうか?
労働者が健康診断を受診することは法的な義務です。
健康診断は労働安全衛生法第66条(健康診断)において、事業者には行う義務が、労働者には受ける義務がある事を定めています。
労働者が健康診断を受けない場合は同条違反となります。
また、事業者には健康診断の結果を5年間、保存する義務もあります。
ただし、労働者は会社が行う健康診断を受けなくても自分自身で他の医師の健康診断を受けて、その結果を会社に提出することで替えることができます。
なお、同条には罰則もあります。
罰則は会社に対してはありますが、労働者に対してはありません。
(ちなみに50万円以下の罰金です。)
ご質問にある従業員に対しては、まずは法的な義務があることを伝え、受診を促したらいかがでしょうか?
また会社が指定する医療機以外で受診したい正当な理由があるなら、その医療機関での健康診断の結果を提出しても良い事を伝えたらいかがでしょうか。
当社では、仕事が減っており、来月に一部の従業員を休ませる予定です。
そこで「休業手当」を支払う準備をしていますが、ある月給制の社員は平均賃金を求める直近3ヶ月間に体調不良が続き、毎月10日前後の欠勤があります。
そのため、そのまま計算すると休業手当が極端に少なくなってしまいます。
この場合でも原則通りの計算によって休業手当を求めるのでしょうか?
休業手当の計算については、労働基準法第26条(休業手当)に平均賃金の百分の六十以上、と定められています。
そして、「平均賃金」は労働基準法第12条に一般的な算出方法のほか、時給制や日給制の労働者の算出方法が定められています。
(この詳細はここでは割愛します。)
ご質問は、月給制(月給日給)で欠勤の多い社員のケースなので、「過去3ヶ月に欠勤が多かった場合」という下記の通達に沿った計算となります。
通達で示す算出方法で求めた金額と、一般的な算出方法で求めた金額をそれぞれ求めて、高い方の金額を平均賃金とします。
『いわゆる月給日給制の平均賃金の最低保障額は、欠勤しなかった場合に受けるべき賃金の総額をその期間中の所定労働日数で除した金額の一○○分の六○とする。』(昭和30年5月24日 基収1619)
補足説明をします。
1 「欠勤しなかった場合に受けるべき賃金の総額」
実際に支払われた賃金ではなく、欠勤控除が無かったとして通常時に支給される月給のことです。
2 「所定労働日数で除した金額」
「実際に出勤した日数」つまり労働基準法第12条第1項第1号にある「その期間中に労働した日数」ではありません。
1年の総労働日数÷12ヶ月=1ヶ月の所定労働日数として、求められる日数です。例えば、20日とか20.7日などの日数です。
当社では、年次有給休暇は1日単位の取得しか認めていません。しかし、半日単位の方が使い勝手が良いので認めてほしい、という従業員からの希望が多くあるため、来年度(4月)から就業規則を改定して、半日単位の有休を正式に制度にする予定です。ところで1時間単位の年次有給休暇は上限日数を5日までと定めていますが半日単位の有休にも上限日数はあるのでしょうか?あるとするならば、何日になるのでしょうか?
半日単位の年次有給休暇(以下「有休」)の取得に上限日数はありません。しかし、有休の原則はまるまる1日休むことです。
1日間、休まないと疲れが取れない、という考え方です。そのため、半日単位の有休については通達で「年次有給休暇は、一労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない。」(昭和24年、63年)としています。
つまり「会社は半日単位で付与する義務はないけれど、付与してもいいよ。」というスタンスです。(半日単位の有休は労働基準法に定めは無く、この通達が根拠となります。)
一方、「時間単位の有休」は労働基準法39条に定めてありますが、上限を5日以内としています。
これらから、半日単位の有休はその取得に上限日数は無いが、会社としては、有休の本旨である「1日単位」での取得を奨めるとともに、上限日数を設ける場合は、「時間単位の有休」に準じて「5日以内」とするのが良いのではないかと考えます。
現在、産後休業期間中で、近々育児休業を取得する予定の従業員がいます。
当人が育児休業に入って2ヶ月程経過すると、年次有給休暇の付与日となるのですが、育児休業を取得している場合も、年次有給休暇を付与しなければいけないのでしょうか?
当社では、残業(時間外労働)の支払いは15分単位で行っています。
例えば終業時刻を8分過ぎて残業をしていても、残業時間は0分であり、17分過ぎた場合は、15分としています。
つまり、15分未満の残業は切り捨てている、ということになります。
これは違法と従業員が主張するのですが、どうしてなのでしょうか?
根拠を教えてください。
労働基準法 第24条では次のように定めています。
これが時間管理は1分単位で行うことの根拠です。
第1項
『賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(後略)』
そして、第2項には
『賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。(後略)』
これらが、「賃金支払い5原則」とよばれるものです。
これら原則のうち「全額」払いがあるため、1分単位で時間管理をして賃金を支払う必要があります。貴社のように、15分単位で数分を切り捨ててしまうと、全額支払いになりません。
なお、これには次の通達(昭和63.3.14基発150)で例外が認められています。
『割増賃金計算における端数処理として、次の方法は、常に労働者の不利となるものではなく、事務簡便を目的としたものと認められるから、法第24条及び第37条違反としては取り扱わない。
(一)一か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に一時間未満の端数がある場合に、三十分未満の端数を切り捨て、それ以上を一時間に切り上げること。(後略)』
従って、上記の例外を除けば、時間外労働(早出・残業等)は1分単位で管理する必要があります。
残業(時間外労働)を1分単位で行うことは理解しました。
実は遅刻や早退も15分単位で行っています。
例えば始業時刻に2分遅れた場合は15分の遅刻として、18分遅れた場合は、30分の遅刻としています。
これも問題があるでしょうか?
遅刻早退時間の減額についての通達があります。(昭和63.3.14基発150)
『(前略)
3 遅刻・早退についてその時間に比例して賃金を減額することは違法ではないが、遅刻・早退の時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみなされ、法第91条の適用を受ける。』
そして、労働基準法第91条は「制裁規定の制限」であり、次のように定められています。
『就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。』
また、Q19にある「賃金の全額払いの原則」があるため、実際の遅刻早退時間を上回っての減額は法に抵触します。
また、Q19でご紹介した通達、
「一か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に一時間未満の端数がある場合に、三十分未満の端数を切り捨て、それ以上を一時間に切り上げること。」
これについても、時間外労働、休日労働、深夜業に関してのことですので、遅刻早退時間の集計には適用されません。
従って、遅刻早退を減額するには1分単位とするか、
あるいは15分や30分単位で管理する場合は、実際の時間を超えた分の減額はペナルティ扱いとして、就業規則に定めた上で運用する必要があります。
(但し、この場合も労働基準法第91条の「制裁規定の制限」の範囲内の減額にとどめなければいけません。)
2019年4月から、従業員に年次有給休暇を5日付与する事が会社に義務付けられました。
当社では以前から一般社員は5日以上の年次有給休暇を取得していますが、管理職は多忙であることから、年次有給休暇を取得しない者も多数います。
やはり、管理職にも年次有給休暇の5日付与義務はあるのでしょうか?
管理職も付与の対象になります。
2019年4月からの「働き方改革」による法改正の一つに、ご質問にある年次有給休暇(以下、年休)の5日付与義務があります。
中小企業でも猶予措置は無く、同月から適用となっています。
ここで年休の5日付与義務の対象となる労働者は、「1年間に10日以上の年休が付与される労働者」です。
従って、社員はもちろんパートタイマーでも比例付与によって10日以上の年休がある人は対象となります。
そのため、管理職であっても1年間に10日以上の年休を付与される人は、年休の5日付与義務の対象者です。
(短時間労働者かつ管理職という方でない限り、ほとんどの管理職が対象になるでしょう。)
なお、各部署ごとの取得率を算出していることは多いと思います。いわば「縦方向の年休取得率」の確認です。
それだけではなく、「部長」「課長」「マネージャー」「リーダー」など役職ごとに「横方向の年休取得率」を確認することもお奨めします。
「縦方向」と「横方向」のマトリックスを眺めていると、新たな発見があるかも知れません。