人事労務のQ&A

【4 年次有給休暇
Q4-1   パートタイマーやアルバイトに対する年次有給休暇の付与
Q4-2   定年後に再雇用した場合の勤続年数の数え方
Q4-3   契約社員やアルバイトが正社員になった時の勤続年数の考え方
Q4-4   退職が目前の従業員への年次有給休暇の付与
Q4-5   半日有休の取り扱いについて
Q4-6   パートタイマーの勤務時間が増えた時などの有給休暇について
Q4-7   パートタイマーやアルバイトの有給休暇について
Q4-8   半日単位の年次有給休暇の取得日数に上限はあるか?
Q4-9   育児休業期間中の従業員に年次有給休暇は付与されるのでしょうか?
Q4-10 管理職にも年次有給休暇の5日付与義務はあるのでしょうか?
Q4-11 半日単位の年次有給休暇の付与
Q4-12 年次有給休暇の買い上げは可能でしょうか?

【7 労働時間管理・時間外労働等
Q7-1 36協定で特別条項を設定する際の留意点

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1 勤怠管理

Q 1-1 【 飲食店従業員のノロウイルス罹患による出勤停止 】

レストランを運営する当社では、ノロウイルスに感染した従業員には、欠勤を命じ、その間の給与は「ノーワーク・ノーペイ」で無給としています。

業種の性質上、従業員はもちろん、お客様にも感染させてしまうリスクがある以上は、出勤させる訳にはいかないのですが、最近ある従業員から、この対応には法的な問題があると指摘されました。どこに問題があるのでしょうか?

A 1-1

労働安全衛生法には、次の条文があります。

第68条(病者の就業禁止)

事業者は、伝染症の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかった労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。

例えば、結核やA型肝炎に罹患した社員は、会社を休ませなければいけません。そして、休ませることは安衛法に基づく措置なので、給料は無給でも良いことになります。

しかし、ノロウイルス感染はその対象とならないため、休ませた場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」となり、労働基準法 第26条にある「休業手当」として、給料の約6割を支払う必要があります。

欠勤を命じること自体は、レストラン運営という貴社のお仕事の性質上、適切な処置であると考えますが、無給という点が問題となりますので、ご注意ください。


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Q 1-2 【 2日間にわたる勤務をすると、代休も2日もらえるか? 】

当社はシステム開発を行っていますが、納期間近になると従業員の中には、徹夜勤務する者も出てまいります。

先日も、ある従業員が土曜日の夕方、午後5時に出社し、翌日の日曜日、午前9時に退社しました。
(実際の勤務時間は、休憩1時間を除いて16時間でした。)

その後、この従業員から2日分の代休申請がありました。本人は、土日それぞれ約8時間ずつ勤務しているので、代休は2日とれる、という認識です。
本人の申し出通りに対応しなければいけないのでしょうか?

 A 1-2 

結論から申し上げますと、代休は『1日』です。

根拠となる通達があります。(昭和28.3.20 基発136


「その労働が継続して翌日まで及んだ場合には、の所定労働時間の始業時刻までの分は、前日の超過勤務時間として取り扱われる。」

つまり、日曜日まで仕事が続き、そのまま始業時刻を過ぎたならば、「2日間」となりますが、今回は始業時刻を超えていませんので、前日からの残業扱いとなります。

従って、代休は1日で良い事になります。

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Q 1-3 【 出向者の勤怠管理について 】

当社は、家庭用品を品揃えの中心とした、ディスカウント店を複数運営しており、取引企業などからの出向者を何名か受け入れております。基本的なことになりますが、出向者の勤怠管理の原則を教えてください。

A 1-3

遅刻・早退・欠勤をはじめ、有給休暇の取得、休業などの「勤怠管理」は貴社で行います。この場合、基本的には貴社の社員と同様の管理方法でよろしいかと存じます。


その上で、出向元から、管理方法についての個別依頼があれば、都度、協議の上、運用をすれば良いと考えます。

出向中の労働関係については、一般的には次のように考えられています。

『出向労働者は出向企業に対しその指揮命令のもとで労務提供を行うので、出向企業の勤務管理や服務規律に服することとなる。』

(労働法 第12版 739頁 菅野和夫)

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2 勤怠管理と給与

Q 2-1 【 パートタイマーを早く帰した場合の給料 】

当社では時給制のパートタイマーを雇用しています。先日、そのうちの数人について、雇用契約で定めた終業時刻より早く業務が終わりました。(7時間勤務のところ、5時間で勤務終了)

このような場合、時給制なので、仕事をした時間に対してだけ、給料を支払えば良いのでしょうか?あるいは、本来の終業時刻までの給与を支払うべきなのでしょうか?

A 2‐1

原則は、雇用契約で取り決めた時間を働いてもらい、その労働時間に対して、賃金の全額を支払うことです。(労働基準法第24条(賃金の支払い)

しかし、ご質問のように雇用契約書で定めた終業時刻より早く仕事が終わった場合、賃金の支払いについては、次の2通りが考えられます。

(1)本人の同意がある場合
貴社からの支払いは必要なくなります。しかし、労働基準法は強行法規ですので、後日に、本人がこの同意を翻意した場合には、改めて貴社には、未払い分を支払う必要が生じます。

(2)本人の同意がない場合

労働基準法 第26条(休業手当)が適用されます。

なお、1日のうち、一部の休業であれば、下記の通達にあるように、早く帰ってもらっても、実際に働いた時間だけの支払いで良いことになります。

『1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由による休業がなされた場合にも、その日について平均賃金の60/100に相当する金額を支払わなければならないから、現実に就労した時間に対して支払われる賃金が平均賃金の60/100に相当する金額に満たない場合には、その差額を支払わなければならない。』
(昭27.8.7 基収3445

具体的には、日給8,000円で8時間労働の契約があり、4時間で仕事を終わりにさせた場合は、4,000円の給与が支払われます。他方、平均賃金は8,000円の6割で4,800円ですから、4,800円に不足する800円を休業手当として支払う必要があります。厳密に言えば、平均賃金は総支給額を暦日で割るので、これよりも少ない金額になりますが、ここでは4,800円と考えます。)

同様の契約で、5時間で仕事を終わりにさせると給与は5,000円です。これは平均賃金を上回っているので、休業手当の支払いは必要ありません。


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Q 2-2 【 欠勤が多い場合の休業手当を支払う場合の平均賃金 】

当社では、仕事が減っており、来月に一部の従業員を休ませる予定です。
そこで「休業手当」を支払う準備をしていますが、ある月給制の社員は平均賃金を求める直近3ヶ月間に体調不良が続き、毎月10日前後の欠勤があります。
そのため、そのまま計算すると休業手当が極端に少なくなってしまいます。
この場合でも原則通りの計算によって休業手当を求めるのでしょうか?

A 2-2

休業手当の計算については、労働基準法第26条(休業手当)に平均賃金の百分の六十以上、と定められています。
そして、「平均賃金」は労働基準法第12条に一般的な算出方法のほか、時給制や日給制の労働者の算出方法が定められています。
(この詳細はここでは割愛します。)

ご質問は、月給制(月給日給)で欠勤の多い社員のケースなので、「過去3ヶ月に欠勤が多かった場合」という下記の通達に沿った計算となります。
通達で示す算出方法で求めた金額と、一般的な算出方法で求めた金額をそれぞれ求めて、高い方の金額を平均賃金とします。
『いわゆる月給日給制の平均賃金の最低保障額は、欠勤しなかった場合に受けるべき賃金の総額をその期間中の所定労働日数で除した金額の一○○分の六○とする。』(昭和30年5月24日 基収1619)

補足説明をします。
1 「欠勤しなかった場合に受けるべき賃金の総額」
実際に支払われた賃金ではなく、欠勤控除が無かったとして通常時に支給される月給のことです。
2 「所定労働日数で除した金額」
「実際に出勤した日数」つまり労働基準法第12条第1項第1号にある「その期間中に労働した日数」ではありません。
1年の総労働日数÷12ヶ月=1ヶ月の所定労働日数として、求められる日数です。例えば、20日とか20.7日などの日数です。

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Q 2-3 【 残業代は1分単位で支払わなければいけないのでしょうか? 】

当社では、残業(時間外労働)の支払いは15分単位で行っています。
例えば終業時刻を8分過ぎて残業をしていても、残業時間は0分であり、17分過ぎた場合は、15分としています。
つまり、15分未満の残業は切り捨てている、ということになります。
これは違法と従業員が主張するのですが、どうしてなのでしょうか?
根拠を教えてください。

A 2-3

写真:賃金計算のイメージ

労働基準法 第24条では次のように定めています。
これが時間管理は1分単位で行うことの根拠です。

第1項
『賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(後略)』
そして、第2項には
『賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。(後略)』

これらが、「賃金支払い5原則」とよばれるものです。
これら原則のうち「全額」払いがあるため、1分単位で時間管理をして賃金を支払う必要があります。貴社のように、15分単位で数分を切り捨ててしまうと、全額支払いになりません。

なお、これには次の通達(昭和63.3.14基発150)で例外が認められています。

『割増賃金計算における端数処理として、次の方法は、常に労働者の不利となるものではなく、事務簡便を目的としたものと認められるから、法第24条及び第37条違反としては取り扱わない。

(一)一か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に一時間未満の端数がある場合に、三十分未満の端数を切り捨て、それ以上を一時間に切り上げること。(後略)』

従って、上記の例外を除けば、時間外労働(早出・残業等)は1分単位で管理する必要があります。

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Q 2-4 【 遅刻や早退も1分単位で支払わなければいけないのでしょうか? 】

残業(時間外労働)を1分単位で行うことは理解しました。
実は遅刻や早退も15分単位で行っています。
例えば始業時刻に2分遅れた場合は15分の遅刻として、18分遅れた場合は、30分の遅刻としています。
これも問題があるでしょうか?

A 2-4

写真:残業のイメージ

遅刻早退時間の減額についての通達があります。(昭和63.3.14基発150)

『(前略)
3 遅刻・早退についてその時間に比例して賃金を減額することは違法ではないが、遅刻・早退の時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみなされ、法第91条の適用を受ける。』

そして、労働基準法第91条は「制裁規定の制限」であり、次のように定められています。

『就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。』

また、Q19にある「賃金の全額払いの原則」があるため、実際の遅刻早退時間を上回っての減額は法に抵触します。

また、Q19でご紹介した通達、

「一か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に一時間未満の端数がある場合に、三十分未満の端数を切り捨て、それ以上を一時間に切り上げること。」
これについても、時間外労働、休日労働、深夜業に関してのことですので、遅刻早退時間の集計には適用されません。

従って、遅刻早退を減額するには1分単位とするか、
あるいは15分や30分単位で管理する場合は、実際の時間を超えた分の減額はペナルティ扱いとして、就業規則に定めた上で運用する必要があります。
(但し、この場合も労働基準法第91条の「制裁規定の制限」の範囲内の減額にとどめなければいけません。)

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3 懲戒・解雇・退職勧奨

Q 3-1 【 体調不良である社員の解雇について 】

当社に体調不良を理由に、最近1年間において、月に5~6回、遅刻または欠勤している社員がいます。

勤怠が不安定なため、仕事を任せにくいことがある上、上司の指示通りに仕事をしないこともあります。会社としては、勤怠の改善をするように本人に注意しているのですが、多少の改善が見られたかと思うと、元に戻るような状況で、職場では困っています。

当社の就業規則では「勤怠不良」が解雇理事由にありますが、どの程度の勤怠不良であれば解雇ができるのか、また解雇が出来るとして、注意すべき点などはありますか。

A 3-1

遅刻・欠勤が多い場合に、どの程度で「解雇」できるか、という数値基準はありません。

考え方としては、どの程度、業務に支障をきたしているか否か、が一つの判断基準になるでしょう。

しかし、今回のケースで解雇に踏み切るのは、少々、難しいのではないかと考えます。

すでに、注意しているとの事ですが、解雇をご検討する前に、本人が勤務態度を改め、雇用継続となるよう、引き続き、再三の注意を促していくことがまずは、会社としてするべき事でしょう。

その際には、人事担当者が立ち会う、強めに注意指導する、など今までとは意識的に接し方を変えることにより、本人に自覚を促すことができると思われます。

また、改善するまでの期限を設定することにより、本人に改善への意識を高めてもらうこともできるでしょう。

しかし、その期限までに一定の改善がなされない時は、残念ながら、次の対応を検討せざるを得ないと考えます。

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Q 3-2 【 入社時に健康状態を偽って採用された社員 】

当社は、通年で中途採用をしています。先日、面接時に「健康状態は良好」と回答しながら、入社後2週間で、うつ病を理由に休職を申し出てきた従業員がいます。話を聞くと、前職でも同じ理由で数ヶ月間、休職していたようです。

当社としては、面接時に健康状態について虚偽の回答をしたことを問題視していますが、何らかの処置はできるのでしょうか?

A 3-2

最近は、メンタル不全によって休職・復職を繰り返す従業員の対応に苦慮するケースが増えてきました。

貴社では、面接時に「健康状態」について質問をされたようですが、会社によっては、持病や、最近の通院状況などの確認をしたり、ご自身の健康に関する簡単なアンケート用紙の提出を求める場合もあります。(ただし、強要はできませんので、ご注意ください。)

なお、健康状態に不安がある事だけを理由に、不採用とするのではなく、ご本人の健康状態を把握した上で、適切な配属や就業管理をしていく事が望ましいです。

さて、面接では「健康良好」と答えながら、何らかの病気を発症して、業務に支障が出る場合などは、面接時における「真実告知義務違反」として、採用を取り消せる場合もあります。

この「真実告知義務」について、判例の考え方は、次のようになります。

・採用にあたり使用者が経歴を質問した場合、労働者は原則としてこれに応じる義務を負う・経歴詐称をした場合に、真実を告知していたら採用しなかった程の詐称であれば、
懲戒解雇は有効となる。

もし、貴社でのケースが「真実告知義務」に該当するならば、解雇をはじめとする何らかの懲戒が可能と思われます。

しかしながら、懲戒解雇はもちろん、解雇も最終的なものとして、まずは、そこに至らない処置をされることが望ましいものと考えます。


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4 年次有給休暇

Q 4-1 【 パートタイマーやアルバイトに対する年次有給休暇の付与 】

当社は、繁華街に構えた複数の店舗で、持ち帰り(食べ歩き)用のソフトクリーム等を販売しています。各店舗では学生アルバイトが中心になって働いています。

同じ大学の友人やサークル仲間が一緒にアルバイトをする事も多く、皆、楽しみながら仕事をしており、サークル活動にも似た雰囲気になっています。

多くの学生アルバイトは週に2~3回の勤務、1回の勤務は4~5時間程度と、労働時間は長くありません。また、就職活動が始まるまでのアルバイト活動なので、長くても3年程度という事もあるので、年次有給休暇を付与していません。しかし、大学で労働法のセミナーを受講したアルバイトの1人が「学生アルバイトでも年次有給休暇があるそうです。」と報告してきました。やはり付与する必要はあるのでしょうか。

A 4-1

写真:ビジネスイメージ

アルバイト学生やパートタイマーなどの短時間労働者であっても、年次有給休暇を付与する義務があります。

年次有給休暇は労働基準法に定められており、同法で対象となるのは「労働者」です。
同法第9条(定義)では、労働者について次のように定義されています。


『「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。』

つまり、給料を支払っているのであれば、週1日だけ勤務するパートタイマーやアルバイトにも年次有給休暇を付与する必要があるという事です。

ただし、年次有給休暇が付与されるのは、1年間に48日以上の出勤日数がある人です。

また、就業日数が少ないパートタイマー・アルバイトには週5日、40時間の勤務をする正社員よりも少ない日数の有休が付与されます。

これを「年次有給休暇の比例付与」と呼びます。(労働基準法 施行規則第24条の3)
比例付与の日数は次のようになっています。

週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の付与日数

週所定

労働日数

1年間の

所定労働日数※

継続勤務年数(年)
0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上

付与日数

(日)

4日 169日~216日 7 8 9 1012 13 15
3日 121日~168日 5 6 68 9 10 11
2日 73日~120日 3 4 4 5 6 6 7
1日 48日~72日 1 2 2 2 3 3 3

※週以外の期間によって労働日数が定められている場合

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Q 4-2 【 定年後に再雇用した場合の勤続年数の数え方 】

当社は酒類のルート配送を行っています。トラックに酒類やジュースなどの飲料ケースを積み込み、決められた飲食店に届けるのですが、ケースはかなり重く、トラックの運転では安全運転が必須です。

当社では社員が60歳に到達した月の末日を定年退職日としています。その時点で退職金も支払っています。その後、本人の希望があれば1年ごとの雇用契約を結んで最長で65歳まで働いています。

定年後の仕事は、体に負担の大きい配送ではなく、倉庫での整理業務や事務作業などを中心に担当させています。また、就労日数も週に2~4日程度となります。

前述のように60歳の定年時に退職金も支払った上で再雇用としているので、勤続年数についても一旦、0としています。そのため、年次有給休暇での勤続年数も0年に戻るのですが、問題があるでしょうか?

A 4-2

写真:トラックのイメージ

問題があります。定年前後の勤続期間は通算する必要があります。

多くの企業では60歳定年後に、雇用条件を変更して再雇用する制度を取り入れています。
ご質問のように退職金を支払ったり、社会保険の被保険者資格を喪失することもあり、「いったん、退職」という印象が強くなります。

しかし、一般的には定年と再雇用の間には1日の空白もないか、空白期間があるとしても、ごく短期間でしょうから、勤務に継続性があると判断できます。
勤務に継続性があるならば、勤続期間は通算されることになります。

ところで、有休の付与日数は、勤続年数が6ヶ月で10日、6年6ヶ月で20日です。
そのため、定年後の再雇用において、従来の勤続年数が通算されるか否かによって、付与される日数が大きく変わってしまいますので、ご本人にとっては大きな問題でしょう。

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Q 4-3 【 契約社員やアルバイトが正社員になった時の勤続年数の考え方 】

当社は企業や地方自治体向けのイベント企画・運営、販促商品の企画・製造委託・販売を主に行っています。当社では社員の他に、契約社員・パートタイマー・アルバイトなどの複数の雇用形態があります。現在、会社が拡大しているため、人材を確保することが優先されています。多様な雇用形態は、採用の間口を広げ、同時に求職者にとっては応募する際の心理的ハードルを下げる意味もあります。ただし、入社後はプロジェクトの責任者として業務を担当する正社員に雇用形態を転換してもらいたいと思っています。実際に毎年10名以上が、正社員に雇用形態を変更しています。

そして、正社員に転換する際はモチベーションを向上させるために改めて入社式を行っています。

この時点で雇用契約書も正社員として書き換えますので、勤続年数も0からカウントしています。以前から、この取り扱いが正しいか疑問があるのですが、いかがでしょうか?

A 4-3

現在の運用は誤っています。雇用形態が変更となる前後の勤続期間は通算してください。

前述のご質問は、定年退職する正社員が短時間労働者になるケースでしたが、こちらは逆に、契約社員やパートタイマー、アルバイトといういわゆる非正規労働者が正社員(正規労働者)に転換するものです。

特にアルバイトやパートタイマーとしての契約期間や勤続期間が短い(6ヶ月以下)場合は、その期間を試用期間のように位置付けて、正社員になったところから勤続年数をカウントする、という運用をしている会社も散見されます。

年次有給休暇の付与は、「労働者」に対してなされます。
雇用形態が異なる契約社員、パートタイマー・アルバイトは、全て「労働者」なので雇用形態が正社員に変更となっても勤続年数は通算されます。

また、その逆に正社員からパートタイマー・アルバイトに転換した場合でも勤続年数は通算されます。

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Q 4-4 【 退職が目前の従業員への年次有給休暇の付与 】

当社では毎年1月1日に従業員に対して年次有給休暇を付与しています。
しかし、従業員の中には、年度末である3月31日に当社を退職して他社に転職するという従業員が毎年、2~3名はいます。

当社では退職をする場合は、少なくとも3ヶ月前には会社に申し出ることになっており、3月31日に退職を希望する従業員は12月31日までに退職願を会社に提出しています。
つまり、退職する事を知ってからすぐに年次有給休暇を付与することになります。

いつも「退職する間近の従業員に年次有給休暇を付与する必要があるのだろうか」と感じています。全日数を付与する必要があるのでしょうか?あるいは、全日数とまではいかずとも「比例付与」のような制度はないのでしょうか?

A 4-4

写真:ビジネスイメージ

結論から申し上げれば、全日数の年次有給休暇を付与する必要があります。
また、残りの在職期間に応じて比例付与する事などは認められていません。

ご質問のようなケースは多くの会社であります。
特に円満退社といえない場合に、このような思いが強い傾向があります。

このケースでは、本来は1月1日に付与された年次有給休暇は同年の12月31日までに取得すれば良いのですが、3月31日に退職するのであれば、3ヶ月間で全ての年次有給休暇を請求することもできます。

たしかに会社として年次有給休暇の「時季変更権」はありますが、実務上、時季変更権を行使することは難しいので、実際には従業員から請求のあった年次有給休暇全て認めざるを得ません。

そうなると引き継ぎが心配になりますが、引き継ぎに支障が出ないよう、適正な日数のみ年次有給休暇を取得するように、直属上司や同僚と話し合って調整をする必要があるでしょう。

とは言っても、年次有給休暇は労働者の権利ですから、引き継ぎを確実に行う事を優先した結果、取得できなかった年次有給休暇が生じた場合は特例として買い上げる、などの措置を行った方が、トラブルにつがならないと考えます。

☆☆☆☆ もう少し詳しく説明  ☆☆☆☆

【年次有給休暇の基本的な考え方】

労働基準法 第39条(年次有給休暇)第5項

「使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。
ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」


これを「時季変更権」と呼びます。

ポイント1
条文にある「事業の正常な運営を妨げる場合」は、会社にとって厳しく考えられています。つまり、基本的には時季変更権の行使は難しいことになります。

ポイント2
時季変更権が認められても、「他の時季に与える」と定められているので、「有休を取るな」という事はできず、あくまでも「時季の変更」になります。


ある従業員が退職するので、後任者に引き継ぎをしないと業務に支障が出る、という事は「事業の正常な運営を妨げる場合」に当たると考えられます。
この事情だけを考えると時季変更権は行使できそうです。(しかし…後述する学説をご参照ください。)

なお、引き継ぎをしないでも問題が無い場合は、当然ながら「事業の正常な運営を妨げる場合」には当たりません。
(ただし、会社の人員計画に齟齬が生じたり、他の従業員に何らかの負担がかかることを考えると、これも「正常な運営を妨げる場合」となりそうです。)


【退職日が近い期間での年次有給休暇の請求】
通説では次のようになります。

「時季変更権の行使には『他の時季にこれ(年休)を与える』可能性の存在が前提となる。そこで、労働者が退職時に未消化年休を一括時季指定する場合には、
その可能性がないので時季変更権を行使しえないこととなる。」(菅野和夫 労働法第12版 P.566 水町勇一郎 詳解労働法P.732も同意)

つまり、退職日が迫る労働者が、残っている年休をまとめて請求しても会社はこれを受けざるを得ない、ということになります。


【会社としてどう対応するか】

まずは、前述の通り、計画的に年次有給休暇を取得してもらう環境を整えることが第一でしょう。
それでも、このような事態が発生した場合は次のような対応が考えられます。

□年休の残日数を考慮に入れて退職日を延ばす。
□年休を取得できない替わりに買い上げる。(年休相当額の手当を支給する。)

なお、年休の買い上げは原則として禁止されています。本来、年休はきちんと取得して「休む」ためのものだからです。
(例えば、従業員が年休を申請した際に、強硬な上司が「うちは年休の買い上げ制度があるんだから、休むな」と言い出すおそれがあります。)

しかし、法定を上回る日数、時効や退職で消滅する年休を買い取る事は違法とはされていません。
「年休の買上げを予約し予約された日数について年休取得を認めないことは、年休の保障(労基39条)に反するが、結果的に未消化の年休日数に応じて手当を支給することは違法でない。」(菅野和夫 労働法 第12版 P.575)

一方、これを問題視する学説もご紹介しておきます。
「年休が時効や退職等によって消滅した場合に、その日数に応じて金銭を支払ういわゆる「事後の買上げ」については、年休の取得を制約するわけではないので労基法39条に違反しないとする見解が一般的であるが、このような取り扱いが容認されると、事後的に金銭の支払いを受けることを期待して労働者が現実の年休取得を控える行動に出ることが考えられ、年休制度の趣旨に反する事態を招きかねない。したがって、事前・事後を問わず、未消化年休に対して使用者が金銭を支払うことは、原則として労基法39条に違反し無効と解すべきである。」(水町勇一郎 詳解労働法 P.747)

私は「事後の買上げ」を明確なルールとしなければ、「事後の買上げ」を期待することもないため問題はないと考えます。つまり、菅野説をとります。


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Q 4-5 【 半日有休の取り扱いについて 】

当社の勤務時間は、午前8時30分から午後5時30分であり、昼休みは12時から午後1時までです。
つまり、昼休みをはさんで、午前勤務は3時間30分、午後勤務は4時間30分の合計8時間となります。

今般、当社では「半日有休」の導入を検討しています。給与は、午前・午後のいずれかに有休を取得しても、4時間分を支給する予定です。
この取り扱いに問題があるでしょうか?

A 4-5

写真:青空のイメージ

ご質問の運用をまとめると次のようになります。

【午前出勤(午後休み】 3.5時間の勤務(4時間分の給与)

【午後出勤(午前休み】 4.5時間の勤務(4時間分の給与)

これには、2つの問題が発生します。

1 午後出勤(午前休み)の場合、4.5時間を働いているのに、給与が4時間分しか支払われません。
 これは、労働基準法の「賃金支払の5原則」のうち、給与全額払いの原則に抵触します。

2 午前と午後で勤務時間に差が出るので、社員に不公平感が出ます。
 (または、皆が午前出勤(午後休み)を選択しかねない。)

解決策としては次の様なものが考えられます。

1 午前出勤(午後休み)は830-1230 4時間勤務にする。

  午後出勤(午前休み)は1330-1730 4時間勤務にする。

但し、この場合、午前出勤の人は昼休みの時間帯に働くことが、問題ではあります。

2 午前出勤(午後休み)は830-12003.5時間勤務
 午後出勤(午前休み)も1400-17303.5時間勤務

なお、この場合、給与は3.5時間分ではなく、4時間分とするのが望ましいでしょう。なぜなら、「半日有休」の制度は、給与も半日分が支給されると、解釈される可能性があるからです。

3 午前3.5時間勤務 午後4.5時間勤務とするが、給与もそれぞれ、3.5時間と4.5時間分とする。

この場合、正しくは「半休」にはなりません。
また、有休の残日数管理も面倒になりますので、半日有休」よりも時間単位の有給休暇とする方が、運用もしやすいのではないかと考えます。

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Q 4-6 【 パートタイマーの勤務時間が増えた時などの有給休暇について 】

パートタイマーの有給休暇は比例付与となりますが、付与した後に、1週間あたりの勤務日数が増減する、1日の勤務時間が増減する、という事もあるのですが、この時はどのように有給休暇を付与すれば良いでしょうか?

A 4-6

次のようなケースが考えられます。


ケース1
【パートが週1日勤務から週3日勤務になった時】
週1日勤務の場合、1日の有給休暇が付与されますが、この人が、週3日勤務になっても、その時点では有給休暇日数は増えません。
週3日勤務になってから到来した付与日において、その勤続期間に応じた有給休暇が付与されます。
(通達 昭和63.3.14 基発150による)


ケース2
【パートの労働時間が増えたとき】
例えば、1日4時間を働くパートが、
有給休暇を取得した場合は、時給×4時間分の給与を支払う必要があります。
そして、この人が1日6時間働くようになった場合は、
有給休暇の取得日における所定労働時間に応じた給与、つまり、時給×6時間分の給与を支払う必要があります。もちろん、これは労働時間が減った場合も同様です。

(通達 平成11基発168号による)

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Q 4-7 【 パートタイマーやアルバイトの有給休暇について 】

当社は社員のほか、パートタイマー(主に女性)とアルバイト(主に大学生)を雇用しています。

社員は1日8時間×週5日勤務で、1週間の労働時間は40時間です。
パートタイマーやアルバイトの多くは、1日は4~7時間、週2~4日の勤務なので年次有給休暇は比例付与としています。

しかし、中には1日8時間×週4日で、1週間に32時間勤務するパートタイマーがいます。本人は比例付与ではなく、通常の有給休暇日数をもらいたい、と言っているのですが、その必要はあるのでしょうか?

A 4-7

写真:森林のイメージ

年次有給休暇の比例付与は、労働基準法 第39条(年次有給休暇) 第3項に、次のように定められています。その上で、具体的な日数は労働基準法施行規則第24条の3(所定労働日数が少ない労働者に対する年次有給休暇の比例付与)に定められています。

『次に掲げる労働者(1週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上のものを除く。)の有給休暇の日数については、比例付与とする。
・勤務日数が1週間に週4日以下の労働者
・勤務日数が1年間に216日以下の労働者』

ここでのポイントは括弧内の「1週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上のものを除く。」という部分です。
この部分の「定める時間以上」は「30時間以上」となります。
この事は、前述の労働基準法施行規則第24条の3に定められています。

勤務が週30時間以上の労働者は年次有給休暇の比例付与の対象から除く、
つまり、通常の年次有給休暇を付与する、という事になります。

従って、ご質問にある週32時間勤務のパートタイマーについては、ご本人の申し出通り、通常の年次有給休暇を付与する必要があります。

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Q 4-8 【 半日単位の年次有給休暇に取得日数の上限はあるか? 】

当社では、年次有給休暇は1日単位の取得しか認めていません。しかし、半日単位の方が使い勝手が良いので認めてほしい、という従業員からの希望が多くあるため、来年度(4月)から就業規則を改定して、半日単位の有休を正式に制度にする予定です。ところで1時間単位の年次有給休暇は上限日数を5日までと定めていますが半日単位の有休にも上限日数はあるのでしょうか?あるとするならば、何日になるのでしょうか?

A 4-8

写真。ベンチのイメージ

半日単位の年次有給休暇(以下「有休」)の取得に上限日数はありません。しかし、有休の原則はまるまる1日休むことです。
1日間、休まないと疲れが取れない、という考え方です。そのため、半日単位の有休については通達で「年次有給休暇は、一労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない。」(昭和24年、63年)としています。
つまり「会社は半日単位で付与する義務はないけれど、付与してもいいよ。」というスタンスです。(半日単位の有休は労働基準法に定めは無く、この通達が根拠となります。)

一方、「時間単位の有休」は労働基準法39条に定めてありますが、上限を5日以内としています。

これらから、半日単位の有休はその取得に上限日数は無いが、会社としては、有休の本旨である「1日単位」での取得を奨めるとともに、上限日数を設ける場合は、「時間単位の有休」に準じて「5日以内」とするのが良いのではないかと考えます。

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Q 4-9 【 育児休業期間中の従業員に年次有給休暇は付与されるのでしょうか? 】

現在、産後休業期間中で、近々育児休業を取得する予定の従業員がいます。
当人が育児休業に入って2ヶ月程経過すると、年次有給休暇の付与日となるのですが、育児休業を取得している場合も、年次有給休暇を付与しなければいけないのでしょうか?

A 4-9

写真:育児のイメージ

育児休業期間中でも年次有給休暇の付与日が到来したのであれば、勤続年数に基づいて、付与する必要があります。

ただし、次の理由で付与された有休を育児休業期間中は取得できません。
年次有給休暇は「労働日」に対して取得できるものです。
その上で、「労働が免除される」ということになります。

一方、育児休業は既に労働が免除されている状況です。
従って、年次有給休暇は取得できないことになります。

つまり、育児休業期間中の年次有給休暇については、「付与されるが取得できない」という事になります。

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Q 4-10 【 管理職にも年次有給休暇の5日付与義務はあるのでしょうか? 】

2019年4月から、従業員に年次有給休暇を5日付与する事が会社に義務付けられました。
当社では以前から一般社員は5日以上の年次有給休暇を取得していますが、管理職は多忙であることから、年次有給休暇を取得しない者も多数います。
やはり、管理職にも年次有給休暇の5日付与義務はあるのでしょうか?

A 4-10

管理職も付与の対象になります。
2019年4月からの「働き方改革」による法改正の一つに、ご質問にある年次有給休暇(以下、年休)の5日付与義務があります。
中小企業でも猶予措置は無く、同月から適用となっています。
ここで年休の5日付与義務の対象となる労働者は、「1年間に10日以上の年休が付与される労働者」です。
従って、社員はもちろんパートタイマーでも比例付与によって10日以上の年休がある人は対象となります。
そのため、管理職であっても1年間に10日以上の年休を付与される人は、年休の5日付与義務の対象者です。
(短時間労働者かつ管理職という方でない限り、ほとんどの管理職が対象になるでしょう。)
なお、各部署ごとの取得率を算出していることは多いと思います。いわば「縦方向の年休取得率」の確認です。
それだけではなく、「部長」「課長」「マネージャー」「リーダー」など役職ごとに「横方向の年休取得率」を確認することもお奨めします。
「縦方向」と「横方向」のマトリックスを眺めていると、新たな発見があるかも知れません。

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Q 4-11 【 半日単位の年次有給休暇の付与 】

当社では、年次有給休暇は1日単位としているのですが、最近、当社に転職してきた者が、前職では半日単位の年次有給休暇があったが当社ではないのか、と質問してきました。半日単位の年次有給休暇は義務付けられているのでしょうか?

A 4-11

写真:時計のイメージ

年次有給休暇は半日単位での付与は義務付けられていません。
労働基準法では、1日単位での取得のみ規定しています。
(同法 第39条 年次有給休暇)

労働基準法では「休日」を1日単位と考えています。
「休日は1日休んでこそ休日である。」という考え方です。

また、半日単位の有休については、次の旨の通達があります。
『年次有給休暇は、一労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない。』

なお、半日単位の有休を付与する場合は、就業規則にその旨を記載する事が望ましいです。

ちなみに時間単位有休は、労使協定の締結が必要となります。
つまり、時間単位有休の導入はよりハードルが高い、という事です。

私見ですが、時間単位有休はきちんと運用しないと、遅刻した場合に、時間単位有休を申請して事実上、遅刻と相殺するなど、職場秩序の乱れにつながりかねないので、あまりお奨めしておりません。
導入する場合は、「○日前までに申請する」などのルールを明確にしておくことが大切でしょう。

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Q 4-12 【 年次有給休暇の買い上げは可能でしょうか? 】

当社では年次有給休暇の取得を奨励していますが、全日数を取得することはできません。
結局、翌年に繰り越しても取得できず、時効によって消滅してしまいます。
消滅する年休を買い上げることはできないのでしょうか?

A 4-12

年休の買い上げは原則として禁止されています。本来、年休はきちんと取得して「休む」ためのものだからです。
(例えば、従業員が年休を申請した際に、強硬な上司が「うちは年休の買い上げ制度があるんだから、休むな」と言い出すおそれがあります。)
しかし、法定を上回る日数、時効や退職で消滅する年休を買い取る事は違法とはされていません。
通説では次のように説明されています。
「年休の買上げを予約し予約された日数について年休取得を認めないことは、年休の保障(労基39条)に反するが、結果的に未消化の年休日数に応じて手当を支給することは違法でない。」(菅野和夫 労働法 第12版 P.575)
一方、これを問題視する学説もあります。
「年休が時効や退職等によって消滅した場合に、その日数に応じて金銭を支払ういわゆる「事後の買上げ」については、年休の取得を制約するわけではないので労基法39条に違反しないとする見解が一般的であるが、このような取り扱いが容認されると、事後的に金銭の支払いを受けることを期待して労働者が現実の年休取得を控える行動に出ることが考えられ、年休制度の趣旨に反する事態を招きかねない。
したがって、事前・事後を問わず、未消化年休に対して使用者が金銭を支払うことは、原則として労基法39条に違反し無効と解すべきである。」(水町勇一郎 詳解労働法 P.747)
これを別の角度でとらえると、年休の買い上げを有効とするには、会社として年休の買上げは原則禁止(=容認しない)として、買い上げの期待をさせないという事でしょう。
また、「期待をさせない」という観点から、通常の賃金での買い上げではなく、一律○千円、などの通常の賃金より低額での買い上げとする方法も考えられます。
実務においては「消滅する年休は買い上げができる」という理解で終わらず、「その前提として年休が取得しやすい就業環境をつくること」をより強く意識すべきでしょう。(その企業努力の上で初めて年休の買い上げが可能となる。)
なお、失効する年次有給休暇を介護や不妊治療などの特定の用途での利用に限定して繰り越す方法もあります。

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5 健康管理

Q 5-1 【 健康診断を受診したくない従業員にどう対応するか? 】

当社の従業員で、定期健康診断の受診を指示しても、「健康診断の結果はプライバシーに属することだから受けたくない」と主張して、受診しない者がいます。会社としてどう対応すれば良いでしょうか?

A 5-1

 A16.

労働者が健康診断を受診することは法的な義務です。
健康診断は労働安全衛生法第66条(健康診断)において、事業者には行う義務が、労働者には受ける義務がある事を定めています。
労働者が健康診断を受けない場合は同条違反となります。
また、事業者には健康診断の結果を5年間、保存する義務もあります。

ただし、労働者は会社が行う健康診断を受けなくても自分自身で他の医師の健康診断を受けて、その結果を会社に提出することで替えることができます。
なお、同条には罰則もあります。
罰則は会社に対してはありますが、労働者に対してはありません。
(ちなみに50万円以下の罰金です。)

ご質問にある従業員に対しては、まずは法的な義務があることを伝え、受診を促したらいかがでしょうか?
また会社が指定する医療機以外で受診したい正当な理由があるなら、その医療機関での健康診断の結果を提出しても良い事を伝えたらいかがでしょうか。

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Q 5-2 【 退職した社員への健康診断結果の通知 】

当社の社員が健康診断を受診後に退職することを申し出てきました。
医療機関から健康診断結果が当社に送られてくるのは本人が退職した後ですが、本人に健康診断の結果を伝えた方が良いのでしょうか?

A 5-2

健康診断の結果は、ご本人にお送りください。
労働安全衛生法での義務と考えられます。
また、本人が転職先の会社に入社する際に提出する可能性もあります。
まず、労働安全衛生法 第66条の6(健康診断の結果の通知)では、事業者は労働者に対して、健康診断の結果を通知しなければならない、と定めています。
健康診断の結果は、会社が労務管理に必要であるほか、本人が健康管理に役立てることもできますので、安衛法での「労働者」には「退職後の労働者」も含まれると考えます。
また、労働安全衛生規則 第43条(雇入時の健康診断)では、次のように定めています。
「事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
ただし、医師による健康診断を受けた後、3月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。」
これより、労働者が転職先の会社に提出することも考えられます。

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6 就業規則

Q 6-1 【 当社は自由な雰囲気を大切にしたいのですが、就業規則は必要ですか? 】

当社は、デザイン業務をメインとする会社のため、社員の創造性を尊重しています。労働基準法などをベースにした就業規則は「古い」「固い」というイメージがあります。最近、社員が10名を超えたのですが、やはり就業規則を作らなければいけませんか?

A 6-1

法的な義務があることはもちろんですが、自由でクリエイティブな雰囲気な会社でも、一定の規律と、企業人としての責任は求められるものと考えます。
自由があれば責任もあります。
必要最小限のルール(就業規則)は定め、柔軟に運用する事をお奨めします。

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7 労働時間管理・時間外労働等

Q 7-1 【 36協定で特別条項を設定する際の留意点 】

当社では年に1~2回程度ではありますが、繁忙月に45時間を超える時間外労働が発生する可能性があります。そのため、特別条項を設定しようと考えています。
その際、1ヶ月の時間外労働と休日労働の合計時間数を余裕をもって100時間としたいのですが問題があるでしょうか?

A 7-1

時間外・休日労働に関する協定届(以下、「36協定」)での特別条項において、1ヶ月の時間外労働と休日労働の合計時間数は80時間未満とすることをお奨めします。
いわゆる「過労死・自殺ライン」では、時間外労働と休日労働の合計時間数が過労死・自殺が生じた場合の直前1ヶ月の合計時間数が100時間を超えるか、超えない場合でも直近2~6ヶ月の合計時間数を平均したときに80時間を超える場合は、業務と発症との関連性が強いとされています。つまり、会社の責任を問われかねないことになります。
また、過労死・自殺という事態までに至らずとも、上限時間を80時間超えとした場合、労働基準監督署の調査が入る可能性が高くなります。
令和3年度の「地方労働行政運営方針」には次のように記載されています。(P.20)
『長時間労働の抑制及び過重労働による健康障害を防止するため、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場及び長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場に対する監督指導を引き続き実施する。』
なお、直接に労働基準監督署が調査に来るケースもありますし、「セルフチェック」などの旨で自己診断シートを事業所に送付して回答を求める、というケースもあります。

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10 その他

Q 10-1 【 在職中の厚生年金と雇用継続給付の関係 】

当社では、厚生年金の受給資格を得た61歳を超える従業員には、雇用条件を見直しすることにしています。
雇用条件にはいくつかのパターンがあり、その一つに週30時間未満の就業時間で、厚生年金には加入しない、というものがあります。
このパターンを選んだ場合、厚生年金が全額支給されることになります。

さて、この従業員が、雇用保険から支給される「高年齢雇用継続給付」を受給することによって厚生年金の一部が支給停止されることがあるのでしょうか?

A 10-1

ご質問にある「特別支給の老齢厚生年金」と雇用保険からもらえる

「高年齢雇用継続給付」は、貴社の従業員が厚生年金の被保険者でなければ、併給調整されません。なお、特別支給の老齢厚生年金と、失業給付(基本手当)は併給調整されます。


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Q 10-2 【 従業員どうしのトラブル予防について 】

当社は、企業から各種データの入力を請け負っており、会社の近隣に住んでいる主婦にパートタイマーとして働いてもらっています。

しかし、パートタイマーが30人以上もいると、人間関係のトラブルも発生します。先日も、パートタイマーどうしの衝突があり、当事者の片方はしばらくして退職してしまいました。

トラブルがあると社内の雰囲気が悪くなりますし、何よりもそのような理由で、貴重な人材を退職に追い込むのは、会社として不本意です。
どのような対策があるでしょうか?

A 10-2

近隣に住むパートタイマーどうしのトラブルは、社内にとどまらず、地域社会での隣人関係をも悪化させる、というリスクがあります。

(家が近所、子供の学校が同じ、等々だとなおさらでしょう。)

トラブルを未然に防ぐ、あるいは、芽の小さいうちに摘み取るには、次の様な手法が考えられます。


・社員などが日常のコミュニケーションですくい上げる。

・会社(総務部)に相談を受け付ける機能を持たせる、あるいは会社(総務)からヒアリングする。

・外部の第三者(顧問社会保険労務士など)が定期的にヒアリングする。


基本的に、「相談を受け付ける」という待ちの姿勢ですと、従業員からすればなかなか相談に行きづらいものです。従って「ヒアリング」を定期的に行うという方法が有効ではないでしょうか。

定期的にパート全員からヒアリング(面談)することで、トラブルの予防のみならず、情報交換することにもつながり、仕事の問題や課題、本人の希望や不満に思っていることなどを話せる良い機会になるのではないでしょうか。その結果、貴重な人材に長く働いてもらえることにもなるでしょう。

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Q 10-3 【 勤務時間外の通信教育受講について 】

我が社では、勤務時間終了後、従業員が職場に残って、仕事に関連する通信教育を受けていますが、これは残業時間になるのでしょうか?

A 10-3

(1)基本となる考え方

通信教育に限らず広く「研修」と捉えた場合、次の通達が参考になります。

労働者が使用者の実施する教育に参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益取扱による出席の強制がなく自由参加のものであれば、時間外労働にはならない。』(昭26.1.20 基収2875号)


(2)基本となる対策

①従業員に、参加申込書を提出させる。(自由参加であることの裏付け)

②研修に欠席したことを人事考課上でマイナスとしない。

③職場での上下関係を持ち込まないために、役職ではなく「さん付け」で話す。

④研修の時間中に中座して仕事をしたり、終了後に仕事に戻らない。
(必須ではないが、無用の誤解を避けるため。)

⑤研修のお知らせ、開始時に「自主参加」であることを毎回、表記または説明する。

⑥教材は会社から支給せずに、実費を徴収する。または、外部講師が無償提供する。

⑦教材の作成は会社のなるべく会社のPC、プリンターを使わない。
 使用する場合でも、昼休みや就業時間外に使用する。
 または、外部講師が作成・配布する。

⑧外部講師への謝礼は会社が負担しない。

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Q 10-4 【 勤務時間外の勉強会へ向かう途中での事故 】

当社は、フランチャイズのファストフードを4店舗、運営しています。
1か月に1回、本社の会議室を使って開かれる自由参加の勉強会を開いていますが、先日、ある従業員が店舗での勤務後、本社へ移動して勉強会へ参加しました。その帰り道に雨が降っていたこともあり、事故にあってしまいました。この場合は、通勤災害になるのでしょうか?

A 10-4

(1)基本となる考え方

通勤災害となるには、移動が「就業に関し」行われたことが必要です。
(労災法第7条第2項)なお、「就業に関し」、次の行政解釈があります。


『移動行為が業務に就くため又は業務を終えたことにより行われるものであることを必要する趣旨を示すものである。つまり、通勤と認められるには、移動行為が業務と密接な関連をもって行われることを要する事を示す』

より具体的には次の通達があります。

『業務の終了後、事業場施設内で、囲碁、麻雀、サークル活動、労働組合の会合に出席をした後に帰宅するような場合には、社会通念上就業と帰宅との直接的関連を失わせると認められるほど長時間となるような場合を除き、就業との関連性を認めてもさしつかえない。』(昭48.11.21 基発644

『業務終了後、事業場施設内で労働組合の用務を1時間25行った後の退勤(中略)は、就業との関連性を失わせると認められるほど長時間とはいえない』(昭49.3.4基収317

『業務終了後、事業場施設内でサークル活動を2時間50行った後の退勤(中略)は、就業との関連性を失わせると認められるほどの長時間といえる』(昭49.9.26基収2023

また、通勤災害の要件として、「住居と就業の場所との間の往復」があり、「就業の場所」とは、『業務を開始し、又は終了する場所をいう。』と解釈されます。

(2)基本となる対策

本ケースで通勤災害を適用したいなら…

①自由参加の勉強会を行うならば「各店舗で」「2時間以内を目安に」行う。

②研修を強制参加として、「業務」にする。

しかしながら、労災(通災)認定は、労働基準監督署長がするものであり、これらの対策を取っていても、実態を勘案して労災認定されない可能性もありますので、あくまでもご参考として、ご理解ください。

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