人事労務のQ&A

Q1.【 体調不良である社員の解雇について 】

 当社に体調不良を理由に、最近1年間において、月に5~6回、遅刻または欠勤している社員がいます。

  勤怠が不安定なため、仕事を任せにくいことがある上、上司の指示通りに仕事をしないこともあります。会社としては、勤怠の改善をするように本人に注意しているのですが、多少の改善が見られたかと思うと、元に戻るような状況で、職場では困っています。

  当社の就業規則では「勤怠不良」が解雇理事由にありますが、どの程度の勤怠不良であれば解雇ができるのか、また解雇が出来るとして、注意すべき点などはありますか。

A1.

 遅刻・欠勤が多い場合に、どの程度で「解雇」できるか、という数値基準はありません。
 考え方としては、どの程度、業務に支障をきたしているか否か、が一つの判断基準になるでしょう。

  しかし、今回のケースで解雇に踏み切るのは、少々、難しいのではないかと考えます。

  すでに、注意しているとの事ですが、解雇をご検討する前に、本人が勤務態度を改め、雇用継続となるよう、引き続き、再三の注意を促していくことがまずは、会社としてするべき事でしょう。

  その際には、人事担当者が立ち会う、強めに注意指導する、など今までとは意識的に接し方を変えることにより、本人に自覚を促すことができると思われます。

  また、改善するまでの期限を設定することにより、本人に改善への意識を高めてもらうこともできるでしょう。 

 しかし、その期限までに一定の改善がなされない時は、残念ながら、次の対応を検討せざるを得ないと考えます。

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Q2.【 飲食店従業員のノロウイルス罹患による出勤停止 】

 レストランを運営する当社では、ノロウイルスに感染した従業員には、欠勤を命じ、その間の給与は「ノーワーク・ノーペイ」で無給としています。

 業種の性質上、従業員はもちろん、お客様にも感染させてしまうリスクがある以上は、出勤させる訳にはいかないのですが、最近ある従業員から、この対応には法的な問題があると指摘されました。どこに問題があるのでしょうか?

A2

労働安全衛生法には、次の条文があります。

 第68条(病者の就業禁止)

 事業者は、伝染症の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかった労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。

  例えば、結核やA型肝炎に罹患した社員は、会社を休ませなければいけません。そして、休ませることは安衛法に基づく措置なので、給料は無給でも良いことになります。

  しかし、ノロウイルス感染はその対象とならないため、休ませた場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」となり、労働基準法 第26条にある「休業手当」として、給料の約6割を支払う必要があります。

  欠勤を命じること自体は、レストラン運営という貴社のお仕事の性質上、適切な処置であると考えますが、無給という点が問題となりますので、ご注意ください。

 

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Q3.【 入社時に健康状態を偽って採用された社員 】

 当社は、通年で中途採用をしています。先日、面接時に「健康状態は良好」と回答しながら、入社後2週間で、うつ病を理由に休職を申し出てきた従業員がいます。話を聞くと、前職でも同じ理由で数ヶ月間、休職していたようです。

 当社としては、面接時に健康状態について虚偽の回答をしたことを問題視していますが、何らかの処置はできるのでしょうか?

A3

最近は、メンタル不全によって休職・復職を繰り返す従業員の対応に苦慮するケースが増えてきました。

  貴社では、面接時に「健康状態」について質問をされたようですが、会社によっては、持病や、最近の通院状況などの確認をしたり、ご自身の健康に関する簡単なアンケート用紙の提出を求める場合もあります。(ただし、強要はできませんので、ご注意ください。)

  なお、 健康状態に不安がある事だけを理由に、不採用とするのではなく、ご本人の健康状態を把握した上で、適切な配属や就業管理をしていく事が望ましいです。

 さて、面接では「健康良好」と答えながら、何らかの病気を発症して、業務に支障が出る場合などは、面接時における「真実告知義務違反」として、採用を取り消せる場合もあります。

  この「真実告知義務」について、判例の考え方は、次のようになります。

 ・採用にあたり使用者が経歴を質問した場合、労働者は原則としてこれに応じる義務を負う・経歴詐称をした場合に、真実を告知していたら採用しなかった程の詐称であれば、
 懲戒解雇は有効となる。

  もし、貴社でのケースが「真実告知義務」に該当するならば、解雇をはじめとする何らかの懲戒が可能と思われます。

  しかしながら、懲戒解雇はもちろん、解雇も最終的なものとして、まずは、そこに至らない処置をされることが望ましいものと考えます。


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Q4.【 在職中の厚生年金と雇用継続給付の関係 】

  当社では、厚生年金の受給資格を得た61歳を超える従業員には、雇用条件を見直しすることにしています。

 雇用条件にはいくつかのパターンがあり、その一つに週30時間未満の就業時間で、厚生年金には加入しない、というものがあります。

 このパターンを選んだ場合、厚生年金が全額支給されることになります。

 さて、この従業員が、雇用保険から支給される「高年齢雇用継続給付」を受給することによって厚生年金の一部が支給停止されることがあるのでしょうか?

          

A4.

 ご質問にある「特別支給の老齢厚生年金」と雇用保険からもらえる

「高年齢雇用継続給付」は、貴社の従業員が厚生年金の被保険者でなければ、併給調整されません。 なお、特別支給の老齢厚生年金と、失業給付(基本手当)は併給調整されます。


Q5.【 始業時刻前の掃除は労働時間か? 】

 当社では、従業員が当番制で、始業時刻の10分前に掃除をしています。

この時間は、厳密に言うと就業時間としなければいけないのでしょうか。

A5

 就業時間前の掃除は、会社からの指示・命令に基づくものであれば、

「労働時間」となります。

一方、従業員が自発的に行っているのであれば、労働時間にはなりません。

 

しかし、この「自発的」の定義は非常に難しく、線引きは難しいです。

例えば、掃除を行わない人に対して人事評価をマイナスとする、

などの不利益取り扱いをすると、「労働時間」になると思われます。


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Q6.【 半日有休の取り扱いについて 】

Q6.【 半日有休の取り扱いについて 】

当社の勤務時間は、午前8時30分から午後5時30分であり、昼休みは12時から午後1時までです。

 つまり、昼休みをはさんで、午前勤務は3時間30分、午後勤務は4時間30分の合計8時間となります。

今般、当社では「半日有休」の導入を検討しています。給与は、午前・午後のいずれかに有休を取得しても、4時間分を支給する予定です。

この取り扱いに問題があるでしょうか?

A6.

 ご質問の運用をまとめると次のようになります。

 

【午前出勤(午後休み】 3.5時間の勤務(4時間分の給与)

【午後出勤(午前休み】 4.5時間の勤務(4時間分の給与)

 

これには、2つの問題が発生します。

1 午後出勤(午前休み)の場合、4.5時間を働いているのに、

給与が4時間分しか支払われません。

これは、労働基準法の「賃金支払の5原則」のうち、

給与全額払いの原則に抵触します。

 

2 午前と午後で勤務時間に差が出るので、社員に不公平感が出ます。

  (または、皆が午前出勤(午後休み)を選択しかねない。)

 

解決策としては次の様なものが考えられます。

 

1 午前出勤(午後休み)は830-1230 4時間勤務にする。

午後出勤(午前休み)は1330-1730 4時間勤務にする。

 
但し、この場合、午前出勤の人は昼休みの時間帯に働くことが、問題ではあります。

  

2 午前出勤(午後休み)は830-12003.5時間勤務

  午後出勤(午前休み)も1400-17303.5時間勤務

 

 なお、この場合、給与は3.5時間分ではなく、4時間分とするのが望ましい でしょう。なぜなら、「半日有休」の制度は、給与も半日分が支給される と、解釈される可能性があるからです。

 

3 午前3.5時間勤務 午後4.5時間勤務とするが、

  給与もそれぞれ、3.5時間と4.5時間分とする。

 

  この場合、正しくは「半休」にはなりません。

  また、有休の残日数管理も面倒になりますので、

  「半日有休」よりも時間単位の有給休暇とする方が、

  運用もしやすいのではないかと考えます。


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Q7.【 2日間にわたる勤務をすると、代休も2日もらえるか? 】

 当社はシステム開発を行っていますが、納期間近になると従業員の中には、徹夜勤務する者も出てまいります。

  先日も、ある従業員が土曜日の夕方、午後5時に出社し、翌日の日曜日、
午前9時に退社しました。
(実際の勤務時間は、休憩1時間を除いて16時間でした。)

 
 その後、この従業員から2日分の代休申請がありました。本人は、土日それぞれ約8時間ずつ勤務しているので、代休は2日とれる、という認識です。

 本人の申し出通りに対応しなければいけないのでしょうか?

A7

 結論から申し上げますと、代休は『1日』です。
 根拠となる通達があります。(昭和28.3.20 基発136

 

「 その労働が継続して翌日まで及んだ場合には、の所定労働時間の始業時  刻までの分は、前日の超過勤務時間として取り扱われる。 」

つまり、日曜日まで仕事が続き、そのまま始業時刻を過ぎたならば、「2日間」となりますが、今回は始業時刻を超えていませんので、前日からの残業扱いとなります。

従って、代休は1日で良い事になります。

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Q8.【 出向者の勤怠管理について 】

 当社は、家庭用品を品揃えの中心とした、ディスカウント店を複数運営しており、取引企業などからの出向者を何名か受け入れております。基本的なことになりますが、出向者の勤怠管理の原則を教えてください。

A8

 遅刻・早退・欠勤をはじめ、有給休暇の取得、休業などの「勤怠管理」は貴社で行います。この場合、基本的には貴社の社員と同様の管理方法でよろしいかと存じます。

 その上で、出向元から、管理方法についての個別依頼があれば、
都度、協議の上、運用をすれば良いと考えます。

 出向中の労働関係については、一般的には次のように考えられています。

 『出向労働者は出向企業に対しその指揮命令のもとで労務提供を行うので、

 出向企業の勤務管理や服務規律に服することとなる。 』

(労働法 第8版 419頁 菅野和夫)

 

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Q9.【 従業員どうしのトラブル予防について 】

 当社は、企業から各種データの入力を請け負っており、会社の近隣に住んでいる主婦にパートタイマーとして働いてもらっています。


 しかし、パートタイマーが30人以上もいると、人間関係のトラブルも発生します。
先日も、パートタイマーどうしの衝突があり、当事者の片方はしばらくして退職してしまいました。

 トラブルがあると社内の雰囲気が悪くなりますし、何よりもそのような理由で、貴重な人材を退職に追い込むのは、会社として不本意です。

どのような対策があるでしょうか?

A9

  近隣に住むパートタイマーどうしのトラブルは、社内にとどまらず、地域社会での隣人関係をも悪化させる、というリスクがあります。
(家が近所、子供の学校が同じ、等々だとなおさらでしょう。)

トラブルを未然に防ぐ、あるいは、芽の小さいうちに摘み取るには、
次の様な手法が考えられます。

 
 ・社員などが日常のコミュニケーションですくい上げる。

 ・会社(総務部)に相談を受け付ける機能を持たせる、

  あるいは会社(総務)からヒアリングする。

 ・外部の第三者(顧問社会保険労務士など)が定期的にヒアリングする。


 基本的に、「相談を受け付ける」という待ちの姿勢ですと、従業員からすればなかなか相談に行きづらいものです。従って「ヒアリング」を定期的に行うという方法が有効ではないでしょうか。

 定期的にパート全員からヒアリング(面談)することで、
トラブルの予防のみならず、情報交換することにもつながり、仕事の問題や課題、本人の希望や不満に思っていることなどを話せる良い機会になるのではないでしょうか。その結果、貴重な人材に長く働いてもらえることにもなるでしょう。

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Q10.【 勤務時間外の通信教育受講について 】

 我が社では、勤務時間終了後、従業員が職場に残って、仕事に関連する通信教育を受けていますが、これは残業時間になるのでしょうか?

A10.

(1)基本となる考え方

通信教育に限らず広く「研修」と捉えた場合、次の通達が参考になります。

 『労働者が使用者の実施する教育に参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益取扱による出席の強制がなく自由参加のものであれば、時間外労働にはならない。』(昭26.1.20 基収2875号)

 
(2)基本となる対策

 ①従業員に、参加申込書を提出させる。(自由参加であることの裏付け)

 ②研修に欠席したことを人事考課上でマイナスとしない。

 ③職場での上下関係を持ち込まないために、役職ではなく「さん付け」で  話す。

 ④研修の時間中に中座して仕事をしたり、終了後に仕事に戻らない。
  (必須ではないが、
無用の誤解を避けるため。)

 ⑤研修のお知らせ、開始時に「自主参加」であることを毎回、表記または
  説明する。

 ⑥教材は会社から支給せずに、実費を徴収する。または、外部講師が
  無償提供する。

 ⑦教材の作成は会社のなるべく会社のPC、プリンターを使わない。
  使用する場合でも、
昼休みや就業時間外に使用する。
  または、外部講師が作成・配布する。

 ⑧外部講師への謝礼は会社が負担しない。

 

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Q11.【 勤務時間外の勉強会へ向かう途中での事故 】

 当社は、フランチャイズのファストフードを4店舗、運営しています。
1ヶ月に1回、本社の会議室を使って開かれる自由参加の勉強会を開いていますが、先日、ある従業員が店舗での勤務後、本社へ移動して勉強会へ参加しました。その帰り道に雨が降っていたこともあり、事故にあってしまいました。この場合は、通勤災害になるのでしょうか?

A11.

(1)基本となる考え方

 通勤災害となるには、移動が「就業に関し」行われたことが必要です。
(労災法第7条第2項)なお、「就業に関し」、次の行政解釈があります。

 

『移動行為が業務に就くため又は業務を終えたことにより行われるものであることを必要する趣旨を示すものである。つまり、通勤と認められるには、移動行為が業務と密接な関連をもって行われることを要する事を示す』

より具体的には次の通達があります。

『業務の終了後、事業場施設内で、囲碁、麻雀、サークル活動、労働組合の会合に出席をした後に帰宅するような場合には、社会通念上就業と帰宅との直接的関連を失わせると認められるほど長時間となるような場合を除き、就業との関連性を認めてもさしつかえない。』(昭48.11.21 基発644

『業務終了後、事業場施設内で労働組合の用務を1時間25行った後の退勤(中略)は、就業との関連性を失わせると認められるほど長時間とはいえない』(昭49.3.4基収317

『業務終了後、事業場施設内でサークル活動を2時間50行った後の退勤(中略)は、就業との関連性を失わせると認められるほどの長時間といえる』(昭49.9.26基収2023

また、通勤災害の要件として、「住居と就業の場所との間の往復」があり、「就業の場所」とは、『業務を開始し、又は終了する場所をいう。』と解釈されます。

 

(2)基本となる対策

 本ケースで通勤災害を適用したいなら…

①自由参加の勉強会を行うならば「各店舗で」「2時間以内を目安に」行う。

②研修を強制参加として、「業務」にする。

しかしながら、労災(通災)認定は、労働基準監督署長がするものであり、これらの対策を取っていても、実態を勘案して労災認定されない可能性もありますので、あくまでもご参考として、ご理解ください。

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Q12.【 パートタイマーを早く帰した場合の給料 】

 当社では時給制のパートタイマーを雇用しています。先日、そのうちの数人について、雇用契約で定めた終業時刻より早く業務が終わりました。(7時間勤務のところ、5時間で勤務終了)

 このような場合、時給制なので、仕事をした時間に対してだけ、給料を支払えば良いのでしょうか?あるいは、本来の終業時刻までの給与を支払うべきなのでしょうか?

A12.

 原則は、雇用契約で取り決めた時間を働いてもらい、その労働時間に対して、賃金の全額を支払うことです。(労働基準法第24条(賃金の支払い)

 

 しかし、ご質問のように雇用契約書で定めた終業時刻より早く仕事が終わった場合、賃金の支払いについては、次の2通りが考えられます。

 

(1)本人の同意がある場合
 貴社からの支払いは必要なくなります。しかし、労働基準法は強行法規ですので、後日に、本人がこの同意を翻意した場合には、改めて貴社には、未払い分を支払う必要が生じます。

 
(2)本人の同意がない場合

  労働基準法 第26条(休業手当)が適用されます。

 なお、1日のうち、一部の休業であれば、下記の通達にあるように、早く帰ってもらっても、実際に働いた時間だけの支払いで良いことになります。

 
『 1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由による休業が
  なされた場合にも、その日について平均賃金の60/100相当する金額
  を支払わなければならないから、現実に就労した
時間に対して支払われ
  る賃金が平均賃金の
60/100に相当する金額に満たない場合には、その
  差額を支払わなければならない。』
    (昭27.8.7 基収3445

  具体的には、日給8,000円で8時間労働の契約があり、4時間で仕事を終
 わりにさせた場合は、
4,000円の給与が支払われます。他方、平均賃金は 8,000円の6割で4,800円ですから、4,800円に不足する800円を休業手当
 として支払う必要があります。厳密に言えば、平均賃金は総支給額を暦日
 で割るので、
これよりも少ない金額になりますが、ここでは4,800円と考
 えます。)

 

 同様の契約で、5時間で仕事を終わりにさせると給与は5,000円です。これは平均賃金を上回っているので、休業手当の支払いは必要ありません。


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